日刊 相模経済新聞
最新の相模経済新聞紙面から、厳選した記事をお届け致します。
1月28日 月曜日
[ ケミカル電子 ]
BCP対応で工場のタンクなど増強
ケミカル電子(相模原市南区大野台)は、災害で電気や水道の供給が止まった際でも、1週間分の製品供給が行えるよう工場を増強する。
同社はコネクターなど電子部品のメッキ処理に用いる「防錆剤」の専門メーカー。BCP(事業継続計画)の一環として、年内にも製品の材料となる水の貯蔵タンク2基と自家発電装置などを導入する予定。
東日本大震災以降、事業所や工場の災害対応と事業継続が経営課題として認識されるようになっている。今後は南関東で首都直下型地震なども懸念されている。
ケミカル電子の日向敏夫社長は「これからの中小企業はBCP対策を本気で進めなければならない」と言及。災害時でも顧客への製品供給に支障をきたさないように生産体制を見直すという。
今回導入するタンクは、1基あたり8dの水が貯蔵可能。防錆剤の原料となる純水を生成する装置も合わせて導入する。生産ラインに電力を供給する灯油式の自家発電装置も置く。
一方、緊急時に供給が止まらないよう社員向けの手順書も合わせて作成していくという。同社は工業団地「Sia神奈川」に本社工場を構える。製品は同工場のみで生産し、国内外200社に供給している。
− 1月 20日号掲載記事より−
1月29日 火曜日
[ 県優良工場 ]
大丸製作所など決定
7工場を表彰
県はこのほど、中小企業を対象にした今年度の「優良工場」として、大丸製作所(相模原市中央区田名)など7社を決めた。17日に県庁で表彰式を行った。相模原の市内企業の受賞は、昨年度の東榮電化工業(中央区小町通)に続いて2年連続となった。 (千葉 龍太)
相模原の企業は2年連続
表彰されたのは、大丸製作所のほか、大場金属(厚木市)、小野寺マーク製作所(横浜市都筑区)、ニイガタ(同市鶴見区)、日崎工業(川崎市川崎区)、ヨシクラ(横須賀市)、共栄ファスナー(海老名市)。
優良工場として認定されるには、まず県内に立地する中小企業の工場が条件。そのなかで、経営成績や作業環境、生産技術、環境対応、労災の防止などの項目で高い水準を満たすことが必要としている。
県は今回の企業を含め、これまで計686工場を優良工場として表彰している。産業空洞化などの影響で、毎年認定する工場の数は、以前に比べると減ったという。ただ、「優良工場は、地域経済を活性化するけん引役として期待される」(県の新産業活性課)としている。
今回、相模原市内から受賞した大丸製作所は、建設機械や自動車業界など向けに、製缶品や金属製パレットなどを製造販売する。最近では、廃棄物処理装置、パレット製作で短納期の生産体制を築くなど、事業展開を活発化させている。同社の杉田豊範社長は「取り組みが評価されて大変光栄に思う。地域の産業を元気にしていきたい」と話した。なお、県は15日〜18日まで、県庁の新庁舎ロビーで今回の優良工場の紹介をパネル展示した。
− 1月 20日号掲載記事より−
1月30日 水曜日
[ 相模原市内の経営者ら ]
水素ビジネスで勉強会 横浜国大などと連携
GETプロジェクトと近未来研
次世代エネルギーとして注目される「水素」に対する知識を深め、将来のビジネスチャンス発掘につなげていこうと、相模原の企業経営者らが集まり、本格的な調査、研究に乗り出す。相模原商工会議所工業部会「新成長ビジネスGETプロジェクト」(松岡康彦委員長)と「近未来技術研究会」(西澤勇司会長)が共同で、横浜国立大学大学院と連携。各分野の専門家を呼び定期的に勉強会を開いていく。 (千葉 龍太)
普及見据え商機を模索
国内産業界では水素に対する関心が高まっている。なかでも、すそ野が広い自動車業界では、トヨタ自動車が500万円を切るセダンタイプの燃料電池車(FCV)量産を計画。
県内に主力拠点を持つ日産自動車も、昨年のパリモーターショーで燃料電池車のコンセプトカー「テラ」を公開するなど、水素を使った燃料電池は次世代のエコカーとしても注目されている。
一方、市内では、水処理大手の栗田工業(東京都新宿区)などが水素ステーション施設を建設。実証実験を行っていた。
今回の勉強会は、2月上旬から計5回に分けて企画している。
同分野で最先端の研究を行っている横浜国大大学院・工学研究院グリーン水素研究センターや大手企業から専門家を招く。同センターの特任教授である太田健一郎センター長らが講演する。
テーマとして「水素の研究と産業利用の動向」や「燃料電池技術の現状と課題」、「水素製造技術の現状と課題」、「水素貯蔵技術」などを予定している。
GETプロジェクトの松岡康彦委員長は「2015年以降は水素社会に向かうことが予想される。(水素を燃料とした)燃料電池車が急激に広まり、10年後には100万台のマーケットになる可能性もある。こうしたことを見据え、産業人として一から勉強する必要がある」と話した。
参加企業は同プロジェクトや近未来技術研の参加企業など計20~30社を想定。
関心があれば、所属していない企業でも参加できるとしている。
− 1月 20日号掲載記事より−
1月31日 木曜日
[ リガルジョイント ]
「オゾン水生成システム」 採用メーカー相次ぐ
リガルジョイント(相模原市南区大野台)が製造販売する「熟成オゾン水生成システム」を採用する飲料メーカーが増えている。
除菌効果と安全性が評価され、昨年11月~12月には商社を通じ2台を納入。いずれも、製造工場で、飲料を充填する前のペットボトルの除菌・洗浄に利用されているという。
オゾン水は薬品を使わずに高い除菌能力を持つが、時間が経つと酸素水に変化し、人体には安全とされる。PETボトルの洗浄後も、すすぎの工程が要らない。納入先の工場でも、塩素消毒とすすぎによる従来の工程と比べて、水の使用量が約60%削減できたという。 リガルジョイントの担当者は「節水とともに、工場排水が安全で環境負荷が少ないことも、導入の決め手となった」と説明する。
特許も取得している同製品は、「ガス発生装置」でつくったオゾンを、「混合ユニット」で水と混ぜて高濃度のオゾン水にする。混合の方法と、システム内をオゾン水が循環する設計で、常に安定した濃度を保てるようにしたのが特徴。
ニーズに合わせて供給量やオゾン濃度も変えられ、最大で毎分約60gを供給できるという。システムは2006年の発売以降改良を重ねてきたもので、価格は仕様により600万円~800万円。これまでに計20台以上の納品実績がある。
熟成オゾン水は除菌だけでなく、インフルエンザなどのウイルスを死滅させる効果も、試験機関で実証されているという。
同社では展示会でのPRに加え、販売代理店も募集している。
問い合わせは、同社042(756)7567まで。
− 1月 20日号掲載記事より−
2月 1日 金曜日
[ 相模原中小5社 ]
ベトナムに共同進出 6月に新会社設立
相模原の中小企業5社がベトナムに進出し、共同出資で新会社を設立する。今年6月をめどに立ち上げる。新会社は、加工業向けに機械操作に必要なプログラムの制作を日本から受託。中小企業にとって費用と時間がかかっていた作業を、経験を積んだ現地スタッフが請け負う。これにより、モノづくりのコスト削減と中小企業の競争力強化につなげてもらう。
(千葉 龍太)
受託サービス展開へ
共同出資するのは、オーエイ(板金加工)と共伸テクニカル(同)、松永商工(樹脂加工)、コバヤシ精密工業(機械加工)、マイクロキャッツ(ITシステム)の5社。
5社は昨年1月、ベトナム進出を見据え、オーエイ(相模原市中央区田名)の事務所内に共同で「データアシストソリューションズ」(DAS、倉本俊彦社長)を設立。4月にホーチミン市内に事務所を開設した。
設立する新会社は、DASのベトナム現地法人という位置づけ。今後、共同出資したい企業がいれば参加を募る。
通常、製造業の現場では、自動化された加工機械を動かすのに、機械を指示する「NCプログラミング」が必要になる。
現場では、機械を操作する職人(オペレーター)とは別に、プログラムをつくる人材もいる。
ただ、人材がいない中小企業の場合、1人がプログラムからオペレーターまで手掛けなければならないケースもある。
加工時間の大半をプログラムに費やすこともあり、結果として生産効率にも響く。
そこで5社が着目したのは、日本と比べ人件費が安いベトナムへの外注化≠ニいう。
現在、DASの現地事務所には倉本社長が駐在しており、日本企業に研修経験がある現地スタッフ3人を育成。参加企業からの仕事を試験的に請け負っている。
現地とは、IT(情報技術)システムでつなぐことで、国内と同じようなやり取りが可能になるという。
プログラム制作を発注しているオーエイの久保誠社長は「実際、コスト削減につながっている」と説明。さらに「DASは同じ悩みを持つ中小企業のための会社になり得る」と話した。
DASの倉本社長は「当面は日本向けの仕事がメーンになる。やがては現地進出する日系企業からの受注も行いたい」とした。
なお、現地法人は5年後に、現地スタッフ100人、売上高5億円に成長すると見込んでいる。
− 2月 1日号掲載記事より−
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