相鑑舎、江成氏 旧満州語る/戦後70年 終戦の日に


「文化は戦争を抑える安全装置」と話す江成氏

「文化は戦争を抑える安全装置」と話す江成氏

 相模原市在住の写真家・江成常夫氏の講演会「まぼろし国・満州と戦争孤児」が8月15日、杜のホールはしもと(相模原市緑区橋本)で開かれた。中国・無錫(むしゃく)市との友好都市30周年を記念したもの。

 江成氏は1981年から、かつて満州国だった中国北東部を訪れ、町並みや日本人戦災孤児を撮影。その中から約40枚を選び出し、1枚ずつスクリーンに投写して説明した。

 31年の柳条湖事件に端を発して、関東軍による建国の経緯を説明した。清朝最後の皇帝で、満州の執政に就任した愛新覚羅溥儀の邸宅や、関東軍司令部の写真を紹介した。

 「五族協和」「王道楽土」の建国理想とは裏腹に、開拓移民の暮らしは過酷だった。戦後も開拓団の家屋が残っており、住宅として使われていたという。

 江成氏は「文化は戦争を抑制する社会の安全装置と言える。ものや経済だけでなく、心を育てることにも予算を使うべき」と話した。

 講演会には、市民ら約170人が参加し、旧満州の話に耳を傾けた。南満州鉄道(満鉄)の職員だった男性は「懐かしい町並みを見ることができた。大変な時代だったが、当時の日本人には夢があった」と話した。

 芸術振興団体の相鑑舎が主催。橋本欽至代表は「将来の日中関係のために、過去を振り返ることは避けて通れない。中国に対する認識を改めるきっかけとしてほしい」と話した。 
(2015年9月1日号掲載)

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