エナメディカル、医療と介護を連携し独自路線で成長/医療機関向け支援・介護サービス


医療・介護の連携を事業に生かす南川社長

医療・介護の連携を事業に生かす南川社長

 医療・介護の連携を事業に生 社会の高齢化が加速度的に進む中、かつては町外れでひっそり運営される特殊な事業に思えた介護サービスも、今や多種多様な業者がひしめく一大業界に成長した。今後も右肩上がりの発展が期待されるところだが、制度改正ごとに繰り返される給付費の増減、事業者間の競争激化、慢性的な人手不足など、さまざまな問題を抱えている。起業が盛んな一方、倒産数も増えているのが現状だ。

 こうした中、エナメディカル(相模原市中央区淵野辺、南川千明社長)は、2003年の創業時から介護と医療、2本柱のサービス事業を展開。さらにオリジナル介護用品の開発・販売に乗り出すなど、独自の歩みを続けている。

 「大半が女性の職場で、自らを含め、結婚や出産、親の介護といった家庭事情により休職や退職、転職を余儀なくされる例を数多く見てきた。生涯一貫して働き続けられる職場環境を創出するには自分が経営者になるしかないと決意した」

 20年にわたり医療事務や介護サービスに従事した南川社長が脱サラ・起業に踏み切った動機は、そんな切なる思いからだ。
 介護事業のみでの創業もあり得たが、当初から2本柱にこだわった。

 「利用者目線で見れば介護は医療との連携が欠かせないが、制度発足後しばらくは手探り状態で、そのことに考えが及ぶ事業者はほとんどなく、起業するなら連携できる組織にしたかった」

 医療・介護両業界を直に経験した南川社長ならではの発想だ。

 医療分野で同社が展開するのは医療機関向けの支援サービス。チームで医療事務受託業務を請け負うほか、近隣医療機関との連携構築やイベント運営などの支援、新規開業時や診療報酬改定時のレセプト診断業務やスタッフ研修等を行っている。

 介護分野では、08年に開設したケアステーションを拠点に訪問介護及び介護予防訪問介護、居宅介護支援、デイサービスなどの事業を展開。加えて注目されるのが、このほど販売を開始したオリジナル介護用品だ。

 第1弾はリウマチ性疾患で手指の拘縮や筋力低下に悩む女性を対象に、着脱を容易にする逆ポケットを付けた自立支援型ショーツ。介護スタッフの発案で2年前に開発に着手。ヒアリング、試着を通して利用者の生の声を反映させながら、使い勝手だけでなく着心地、耐久性にも十分配慮。リハビリ効果も期待できる製品に仕上がっている。

 ネット、カタログ通販のほか、医療機関内売店なども視野に入れており、第2弾の企画も進行中だ。

 現在、医療分野に30人、介護分野に25人のスタッフが所属。フレックス勤務、資格取得支援、産休等、起業動機である職場環境の充実にも力を入れており、そのことがサービスの質の向上にもつながっている。

 ますます競争が激化する業界を生き抜くには、確たる経営理念、高いES(従業員満足度)、CS(顧客満足度)が必須要件といえそうだ。
(編集委員・矢吹彰/2015年11月1日号掲載)

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