相模原市出身で、上溝南高校の教頭を務めた田口正男氏(現・東京農大客員研究員)は12日、横浜市保土ケ谷区の横浜国立大学で「里地里山保全と生物多様性―トンボの生態を中心に―」をテーマに講演。長年の調査結果をはじめて公表し、学生や団体関係者など約25人が聴講した。
調査は2014年までの約11年間、相模原市緑区川尻のバンジ谷戸で、谷戸(丘陵地の侵食でできた谷)の再水田化による生態系の変化を観察した。再び水田を整備したことで、春から初夏に現れるトンボの生息数が増えたという。
田口氏は「種類によって、微妙に生育環境が異なる」と、生態系の変化の指標としてトンボに着目。橋本高校や弥栄東高校などで教鞭を取りながら、35年にわたり川尻地区の里山でトンボの生態調査を行った。
「里山の変化が生態系に影響を与えている。トンボの定着が、里山再生の到達目標になるのでは」と提言する。
(2015年12月10日号掲載)