「地元相模原の皆さんに音楽を楽しんでほしい」と語るのが、相模原市緑区町屋に在住するフルート奏者の浅尾真実さんだ。幼少から音楽に親しみ、小学1年からフルートを習い始め、コンクールでも数多くの実績を残してきた。2月29日には杜のホールはしもとで「浅尾真実フルートリサイタル」を開催する。音楽とともに歩んできた軌跡と「フルートが好き」という浅尾さんの思いを聞いた。
(野村和正/2016年2月20日号掲載)
緑区町屋で生まれ育った浅尾さん。母親がクラシック音楽好きで、物心がつく前から音楽に触れ、3歳からは音楽教室でリズム遊びやリトミックを行っていたという。
転機は小学1年のとき。音楽教室を訪ねた時、数多くの楽器の中でフルートを見た瞬間、「これがいい」と手に取った。そこから浅尾さんのフルート人生が始まったという。「直感でこれだと思った。ダンスや新体操なども習ったが、唯一続いたのがフルート」と浅尾さん。
週1回のレッスンに通い、自宅でも練習に励んだ。定期演奏会などへ出演し、「かわいい服で舞台にあがり、フルートを吹くのが好きだった」と振り返る。
小学校を卒業すると、中・高一貫教育の自由の森学園(埼玉県飯能市)へ進学。ここでも週一回のレッスンと自宅での練習を欠かさず、学園祭などでその腕前を披露。コンクールにも出場し、第8回日本フルートコンベンション・コンクールアンサンブル部門の小・中学校の部で金賞を受賞するなど、輝かしい実績を残した。
■フルートと自分の戦い
一方で、舞台で緊張し失敗することも。「失敗から落ち込むなど今でも悩むことは多いが、突き詰めれば自分とフルートとの戦い。自分で乗り越えるしかない」と語る。
高校時にフルート奏者への夢を実現するために昭和音楽大学へ進学。音楽一色の生活に一変した。
授業の合間の練習や授業でも常に音楽に触れ、「今までで一番練習した時間だった」と振り返る。
大学卒業後は念願のフルート奏者としてデビューし、ロビーコンサートなどで人々を魅了してきた。
■地域での演奏活動
2、3年ほど前からは、知人の紹介で城山商工会と協力し、地元で演奏を披露する機会にも恵まれた。「日常に音楽がある相模原にしたい。敷居が高いと敬遠しがちなクラシック音楽を気軽に楽しめるように、CMや映画で使用された音楽を演奏しています」と笑顔で話す。地域での演奏は今後も継続する予定だ。
「フルートを演奏する楽しさだけでなく、フルートを介して生まれる人とのつながりが大好き」とも語る浅尾さん。演奏後の観客との会話も大切にしており、「自分の音色と思いをのせて演奏し、それが観客に伝わった時の空気感が幸せ」とはにかむ。
29日のリサイタルでは、浅尾さんの思いをのせた音色が多くの観客を魅了し、「幸せな空気」が会場を包むだろう。