首都圏の知事や政令市長が共通課題について話合う九都県市首脳会議がこのほど、首都圏を初めて離れて福島県福島市で開かれた。福島の復興・創生に向けた支援策を示し、国の取り組みが一層加速するよう働きかけることで合意した。
会議では福島県の内堀雅雄知事がゲストとして出席し、東京電力福島第1原発の廃炉作業の状況や課題に加え、医療人材の不足などの現状を説明。「応援派遣に応じる意思がある看護職員を募りたい」(横浜・林文子市長)など、各首長から提案があった。
地方分権改革では「権限・財源の委譲や、義務付け・枠付けが不十分」と指摘。国への要望に、真の分権型社会構築に向けた「提案募集方式」に基づく改革の推進や、地方税財政制度などを盛り込んだ。
3年目となる「提案募集方式」では、26年度に農地転用許可の権限を知事へ移譲する方針が決定するなど、進展も見られた。住民に身近な行政について現行制度の具体的な支障事例を示すことで、地方自治体に権限を移すよう求めていく。
九都県市は、新たに「地方税財政問題」や「障害者の積極的な就労促進」への取り組みを国に求めていく。特に「多子世帯・子育て世帯向け住宅による子育て支援」では、3人以上子供がいる多子世帯にも対応できる住宅を推奨し、標準化を目指すという。
9都県市は、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県と相模原、横浜、川崎、さいたま、千葉の5市。参加自治体が抱える共通の課題を協議し、国への要望活動を行っている。
(2016年6月20日号掲載)