渡邊孝さん、失敗と成功の50年記す/青年企業家に贈る自叙伝


著書を手にする渡邊社長

著書を手にする渡邊社長

 津久井湖ゴルフ倶楽部社長の渡邊孝さん(88)は1日、『起ち上げる勇気・退く知恵』(文芸社)を出版した。激動の昭和に生まれ、失敗と成功を繰り返しながら生きた50年間をつづった。「若い企業家が増えているが、会社経営は命がけということを伝えたい」と力強く語る。
(芹澤 康成/2016年6月20日号掲載)

 渡邊さんが2年前に出版した『昭和疾風伝』(郵研社)を読んだ文芸社役員が、自宅を訪れて執筆を依頼。渡邊さんは「厳しい局面に立ち向かう時、どのような発想が心の支えになるのか書き出し“社長業”を歩もうとする若い人の道しるべとしたかった」という思いから、筆を取ろうと決意した。

 同書は『昭和疾風伝』の内容をもとに、出版社の指示に従って再編、加筆・修正した。幅広い年代に読みやすいよう、セリフを多く盛り込んだ小説調の自叙伝とした。

 導入部では、現職に就いた経緯について触れ、事業家人生を歩み続ける思いを書いた。少年時代を振り返り、「歩く道のりが厳しくなると、後押ししてくれる人と巡りあった」と、起業に至る道筋を記した。

 渡邊さんは1927年、茨城県笠間町(現・笠間市)に生まれた。「特攻」を命じられた予科練生が中学校の教員になり、相模原市南区でスーパーマーケット「大野ストアー」を開業。「すき焼きおお乃」「割烹おお乃」と業態を変えながら、50年以上を実業家として過す。

 「一生懸命に努力する人に、人は自然と力を貸してくれる」と渡邊さんは、「起業と転業を積み重ねた経験から得た教訓を若い人の道しるべとしたかった」と話す。

 市内書店によると、中学生や高校生を子供に持つ女性などから注文が殺到。店頭に用意した100冊が2、3日で売り切れたという。

 紀伊国屋書店相模原伊勢丹店では特設コーナーが設置されているほか、津久井湖ゴルフ倶楽部や相模原グリーンテニスクラブなどでも販売している。

 四六並判で310ページ、1512円。問い合わせは、文芸社03・5369・3060まで。

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