相模原協同病院はこのほど、杜のホール橋本(相模原市緑区橋本)で32回目となる市民健康教育講座を開いた。肺がん治療の最前線を知ってもらおうと、疫学・内科・外科の立場から医師3人が最新情報を提供した。
日本人の全死亡者の28・7%(2015年)を占める肺がん。治療法は手術で患部を切除する「外科的療法」、抗がん剤による化学療法と放射線治療の「内科的療法」の大きく2つ。内科と外科、それぞれの専門医が最先端の治療法を紹介した。
最初に山本倫子氏(呼吸器病センター長)が疫学の分野から、現状や原因などを説明。「喫煙開始が早い人ほど肺がんになるリスクが高くなる。なるべく早く喫煙をやめることが、予防の秘けつ」と注意を促した。
次に上遠野健氏(呼吸器内科副部長)は、がん細胞だけを攻撃する治療薬について説明。「以前は副作用が起こり、患者の大きな負担となる例もあった。現在では、一人ひとりの症状や体調を見極めながら、薬の種類や副作用のコントロールも可能になっている」と話していた。
呼吸器外科の安彦智博部長は、外科的治療について「1週間程度の入院で済み、病理学的検証もできるので根本的治療が期待できる」と強調。「早期発見できれば部分的に切除する。傷が小さく、入院期間も短期化できる」と紹介した。
2部は、座長の高野靖悟病院長や会場からの質問に答えるパネルディスカッション。医師3人が治療方法や治療後の後遺症など、来場者の質問に丁寧に答えていた。
(2016年7月20日号掲載)