相模原市は8月31日、JR相模原駅と橋本両駅を軸に開発を進める「広域交流拠点整備計画」を市民のパブリックコメントを経て策定した。今後、事業を本格的に始動する。両駅の周辺地区を「首都圏南西部の持続的な成長の源泉」と位置づけ、「さがみはら新都心」として一体的に開発を進めていく。
計画には総事業費や具体的な整備手法が盛り込まれていないが、東京五輪後の首都圏で最大規模の開発になるという。リニアや圏央道など交通ネットワークが充実するため、経済や文化、医療など、さまざまな分野のハブ機能として期待される。
パブリックコメントは6月15日から7月22日まで実施し、市民139人から640件の意見などが寄せられた。事業の賛否のほか、整備手法への具体的な要望もあり、市民の関心度が高い。
◇橋本駅周辺地区
橋本駅周辺地区は、2027年開業(品川~名古屋)予定のリニア中央新幹線の新駅改札を中心とした120㌶が重点エリア。▽広域交流▽複合都市機能▽ものづくり産業交流―の3ゾーンを計画。橋本駅からリニア駅改札を結ぶ動線を「交流・賑わい軸」と位置づけた。
乗り換え同線を巡る計画では、京王相模原線ホームの移設を検討している。改札はJR橋本駅南側の広域交流ゾーン内で検討しており、リニア改札、JR改札と直線上に並ぶ。
◇相模原駅前周辺地区
相模原駅周辺地区では、JR相模原駅を中心とする約660ヘクタールが対象。特に在日米陸軍相模総合補給廠一部返還地(約17ヘクタール)の整備が中心で、商業施設やコンベンション施設、オフィス、ホテルなどの機能を配置。市立美術館(相模原)も計画されている。
唐木田駅(東京都多摩市)から延伸が予定されている小田急多摩線は、町田市の小山田バス停付近に計画されている新駅を経由する。相模原の新駅はJR駅東側の地下で検討を進めている。
JR横浜線は矢部駅から橋本駅までの約3・7キロメートル区間を地下化、または高架化する「連続立体交差」を計画。6カ所の踏み切りを除去することで、渋滞の解消を図る。
(2016年9月10日号掲載)