東邦電子(相模原市緑区西橋本)は、計測データを近距離無線通信でスマートフォンに送信し、管理・分析できる温湿度ロガー「ピコロガー」を開発した。シリーズをIoT事業への橋渡しとし、開発で得たノウハウを次世代の主力製品開発に生かしたい考えだ。
同シリーズに使われている高分子薄膜式温湿度センサーはスイス製で、国内の自動車業界で信頼を確立している。他の分野で活用できないかと、植物プラントなどの農業市場向けに開発した。
予想外に好評だったのが、医療や介護などの分野。熱中症対策が強化されている病院や高齢者住宅で、温湿度管理に使用されている。
戦略技術室の松浦雅彦次長は「対象となる市場は絞っていない。設置場所を選ばないので、潜在的な市場があるはず」と話す。
搭載する高分子薄膜式温湿センサーは、バンドギャップ式の温度センサーと、薄膜シリコンの湿度センサーで構成。センサー部を制御基板と分離したため、マイナス40度~125度までの温度と湿度を計測・記録できる。
使用できるスマートフォンは、米アップル社の「アイフォーン4S」以降の機種とアイパッド。国内における保有率が高く、動作保証が確保しやすいため。アンドロイドOSへの対応は、市場動向などを見ながら検討していくという。
(2016年9月20日号掲載)