町田市と東急電鉄(東京都渋谷区)は共同で、東急田園都市線の南町田駅南口周辺の大型再開発に乗り出す。ベッドタウンの高齢化が加速するなか、幅広い世代の交流の拠点にしようという試みだ。総事業費は500億~600億円と試算している。
周辺の戸建て住宅地は、田園都市線が開通した1970年前後に開発。当時からの住民は高齢化が進み、空き家や孤立世帯の増加が懸念されている。子育て世代を呼び込みたい市と、鉄道利用者を増やしたい東急の考えが一致し事業化に至った。
事業が行われるのは、17年2月をめどに一時閉店する東急の屋外型商業施設「グランベリーモール」(約100店延約3・2ヘクタール)と、隣接する市立鶴間公園(約7・1ヘクタール)などの一帯。駅の南北をつなぐ自由通路を設けるほか、高層住宅も建設する。
公園と商業施設の間には、遊歩道などがある「融合ゾーン」を設け、商業施設が閉店した後も周辺を自由に歩けるように配慮する。駅から鶴間やつくし野などの住宅地へ動線を確保し、多世代が交流できる歩行者ネットワークを整備するという。
全体の広さは約22ヘクタール。東急が世田谷区で進めた大型再開発事業「二子玉川ライズ」と隣接する区立公園(計約17ヘクタール)を上回る面積だ。
市は年内、計画地の西から南へ流れる境川の水害に備え、地下調整池の増設に着手する計画。新たな商業施設や公園、道路を一体的に再整備し、東京五輪・パラリンピック前の2019年度中の街開きをめざす。
市は7月から参加者を公募し、公園のあり方をめぐるワークショップを開始した。テーマを決めて、12月までに5回開く予定。
(2016年9月20日号掲載)