小松屋「リプル」を発売、三味線向け人口皮開発/海外需要狙う


「リプル」を張った三味線を持つ小松社長

「リプル」を張った三味線を持つ小松社長

 三味線を製造・販売する「小松屋」(相模原市緑区青山)は、三味線の胴に張るイヌやネコの皮に代わる人工皮革「リプル」を開発した。動物愛護の高まりや国内需要の低迷などの逆境を乗り越え、欧米などで増える需要に応えようとしている。
(芹澤 康成/2016年10月1日号掲載)

 三味線に使う皮は約9割がイヌ、残る約1割がネコなどの皮。動物愛護の高まりを受け、供給元のタイや中国が輸出を禁止している。カンガルー皮やヤギ皮などを代用とする研究も行われているが、一部の三味線では適さない場合もある。

 和楽器業界は、国内の愛好家が少なくなっている斜陽産業だが、日本ブームを受けて海外からの注文が増えている。しかし、動物皮が使われていることで、「日本は野蛮な国だ」と批判を受けかねない。

 英語で「さざ波」という意味のリプルは、特殊な方法で染色した布。三味線独特の音色に近づけるため、厚みや手触りなどにこだわった。

 同社は日本音響研究所に依頼し、リプルを使った三味線とイヌ皮の三味線を比較・分析した。結果、人間の耳では聞き分けが困難であるほど、音色や減衰が似ていることが分かった。

 動物皮にはない強みもある。イヌ皮やネコ皮に比べて安価で、耐久性や耐水性に優れる。また、着色や印刷することも可能なため、写真やイラスト、柄をプリントすることもできる。

 小松社長は「県ではイヌやネコの殺処分をゼロにしようという動きがある。相模原から動物愛護を発信できれば」としている。

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