JAXA、電力のレーザー伝送が成功


jaxa%e5%a4%aa%e9%99%bd%e5%85%89%e7%99%ba%e9%9b%bb 宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこのほど、太陽エネルギーをレーザー光などに変換して地上に伝送し、電力として利用する「宇宙太陽光発電システム(SSPS)」の要素技術の実証試験に成功したと発表した。SSPSの実用化は2030年代以降を想定。実験の成功は、エネルギー問題解決につながる重要な一歩となった。

 試験では、研究用タワーの屋上を宇宙と想定し、地上までの213メートルを電力伝送。ドローン(無人飛行機)を飛ばすデモンストレーションを成功させた。将来的には月面探査用ローバーへの電力伝送に活用するという。

 同システムは、宇宙で太陽光エネルギーをマイクロ波やレーザーに変換し、地上に伝送して電力として利用する。天候に左右されない宇宙空間に太陽光発電設備を設置できるのが利点だが、実用化にはレーザー光を地上の設備に照射しなければならない。

 求められる精度は、4キロ先の富士山の山頂に置いた4ミリの針穴を裾野から狙うのと同等。地面からの放射熱や日射などで大気が揺らぎ、検出器に入るレーザー光の位置がずれる場合があり、正確に制御して照射できるシステムが必要となる。

 実験は、川崎重工業と日立ビルシステムの協力を得て行った。日立製作所水戸事業所(茨城県ひたちなか市)にある研究塔「G1TOWER」を利用した。

 具体的には、塔の屋上に衛星に相当する「ダウンリンクユニット」、地上に方向制御精度の計測などを担う「アップリンクユニット」を設置。工業で使う加工用レーザーで約200メートルの地上を照射し、電力伝送効率などを確かめた。

 レーザー出力は最大340ワット。直径1ミリメートル程度の範囲内でレーザー光の方向を制御できることを実証した。

 また、光電変換装置の出力を74・7ワットとすれば、電力伝送効率が21・3%となることも判明。今後、出力を向上させ、効率35%を目指すという。

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