県と県内3政令市の首長が意見交換する四首長懇談会が11月14日、相模原市南区相模大野のホテルで開かれた。同市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺害された事件を受け、措置入院者支援などで4県市が連携して取り組むことに合意した。
座長を務めた加山俊夫相模原市長は「実効性あるものを目指し、全国的な参考になる取り組みとしたい」と意気込む。
事件を起こしたとされる植松聖(さとし)容疑者は、措置入院の退院後に東京都八王子市へ転居する意向を示していたが、相模原市は個人情報保護を理由に八王子市に情報を提供しなかった。結果的に八王子に転居せず、相模原に住んでいた。
精神疾患で措置入院となった者は、指定医の判定を基に知事や政令市長が退院の判断をする。退院後のフォローが必要な患者もいるが、異なる自治体へ転居した患者の情報共有についてはこれまで明確な指針がなく、自治体ごとの判断に委ねられていた。
県内での転居は、措置入院者本人の同意を前提に、情報を引き継いでいく仕組みをつくる。措置入院者の支援を充実させるため、財政支援や医療体制の整備を国に要望していく。
黒岩祐治知事は「措置入院する人物は危ないから監視しなくてはいけない、という議論になる可能性がある」と、逆に患者への偏見を助長するおそれを指摘した。
(芹澤 康成/2016年12月1日号掲載)