治療が困難な小児がん「小児脳幹部グリオーマ」で子供を亡くした家族らによる患者会「小児脳幹部グリオーマの会」が10月27日、厚生労働省を訪問して塩沢恭久大臣に治療法の研究や支援制度の改善などを求める要望書と約2万3千筆の署名を手渡した。
要望書では、小児脳幹部グリオーマについて「希少性ゆえ、研究は全く手つかずのまま放置されている」と指摘。①難治性小児脳腫瘍の研究体制の確立②小児脳幹部グリオーマの治療研究の推進③ドラッグラグ(新薬の開発から承認までの時間差)の解消―など6点を求めた。
小児脳幹部グリオーマは、生命の維持に必要な機能が集まる「脳幹」に発症する悪性腫瘍。国内で年間50から100人の子供が発症しているとされ、ほぼ半数の患者が発症から1年以内に死亡すると言われる。
脳幹は、生命維持にとって重要な神経が集まるためメスを入れる摘出手術はできず、抗がん剤も効果がない。決定的な治療法が確立されず、診断と同時に余命宣告をされる「最も過酷な難治性小児がん」だという。
(芹澤 康成/2016年12月1日号掲載)