職場からの“うつ”を防ごう―。大手企業と比べ立ち遅れているとされる中小企業のメンタルヘルス対策を支援しようと、産・学・士業がスクラムを組んだ。県内30社と北里大学の研究者、社会保険労務士が加わり「産業精神保健機構」を発足、活動を始めた。「うつ病を出さない職場にするためには、まずは経営者がメンタルヘルスを理解する必要がある」と松岡康彦代表理事(湘南デザイン社長)は参加を呼び掛けている。
(編集委員・千葉龍太/2017年1月20日号掲載)
4月17日の午後5時から、相模原市立産業会館で発足記念の基調講演会、情報交換会を開催する。
「どんなに社内体制が整っていても、うつ病にかかる社員は出る。問題は、実際にうつ病になってしまったとき。『(会社は)メンタルヘルス対策について何もしていなかったじゃないか』と責任を問われる事態になりかねない」と松岡代表理事は説明する。
厚生労働省が昨年末に発表した「患者調査」によると、うつ病などの気分障害で医療機関を受診している総患者数は110万人を上回った。
また、人の心の健康を守るため、従業員数50人以上の事業所を対象に、年1回の「ストレスチェック」を義務付ける制度も始まっている。
こうしたなか、同機構は、従業員数50人以下の地域中小企業では、従業員に対する十分なメンタケアがされておらず、うつ病など精神疾患を発症する人が増えていると指摘。相模原市内だけでも1500人の社会人が、うつ病を抱えていると推測している。