県と3政令市、国に要望書/措置入院制度見直しへ


 黒岩祐治知事と相模原・横浜・川崎の3政令市長は11日、塩崎恭久厚労相に措置入院制度の見直しや国の支援を求める要望書を提出した。国会へ提出予定の精神保健福祉法の改正案に反映させるほか、制度見直しに伴って自治体に予算や体制の整備が必要な事項は準備期間の設置も求めている。

 同市緑区千木良の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件について、厚労省の再発防止策検討チームが自治体による措置入院患者の支援強化を提言したことを受け、四県市が検討してまとめた。相模原市の加山俊夫市長が古屋範子副厚労相に要望書を手渡した。「支援の体制整備に必要な人材の確保・育成と財源は国が支援すべき」と訴えた。

 要望では、措置入院制度について「対象者に対する医療及び保護を目的としており、犯罪防止を目的とするものではない」としながら、「国民に十分に理解されているとは言い難い」と指摘。制度に関する普及啓発を「人の同意を前提に行うこと」と人権への配慮を求めた。

 要望書では、措置入院の過程で把握した犯罪が疑われる具体的な情報に対して、自治体や医療機関が的確に対応できるよう、取り扱いの明確化を要望。退院後支援計画の作成や退院後の継続的な支援などの仕組みづくりは、県や政令市、医療機関などの意見を反映するよう求めた。

 検討チームの最終報告書においても、措置入院した全患者の医療や福祉の継続支援を図り、自治体に退院後の支援計画の作成するほか、自治体と病院、警察などが連携を強化して個人情報を共有できる制度の検討も求めている。一方で、病歴などの個人情報を共有することは、個人情報保護法に抵触するとの懸念も示された。
(芹澤 康成/2017年1月20日号掲載)

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