日本貿易振興機構(ジェトロ)は1月20日、東京・丸の内の東京国際フォーラムで海外展開を考える中小企業向けにセミナーと相談会「ワールドビジネスフェスタ2017」を開いた。10カ国1地域で活動するコーディネーターが現地の最新情報を提供したほか、個別の相談にも応じた。
米国サンフランシスコの専門コーディネーター・潮尚之氏(情報技術普及促進コンソーシアム)は、米アップル社の株価が1%以上値下がりした例を上げ、トランプ政権がシリコンバレーに与える今後の影響について説明した。
移民制限は、米国人労働者の雇用を促進する一方、人件費の相対的な上昇が見込まれる。世界から優秀な人材を集めて成長してきたハイテクビジネスにとって逆風となり、技術者などの海外流出が予想される。
潮氏は、円安傾向なので米ドル資産を有効に活用し、中期的に円高になれば対米投資を行う戦略を提案。現地企業との合併や買収、現地法人の設立に対する米政府からの支援が期待される。「選挙演説中の発言と実際の施策との違いや、政権メンバーの見極めが必要」と話していた。
相談会では、現地の政府当局や企業などとのネットワークに強みを持つ専門家40人が海外への輸出や進出を考える企業の相談に応じた。輸出や投資に関する総合的な相談のほか、取り引き先となる現地企業や団体の紹介や取り次ぎ、アポイトメント取得など具体的な支援も行った。
(2017年2月10日号掲載)