県はこのほど、県内における今春のヒノキ花粉の飛散量が「昨年より少ない」との予測を発表した。県北部(相模原市緑区)の着花点数が46・8点と、県内平均より高い値を示した。
調査方法は、調査個所のヒノキ林で見通しのよい10本を標本とし、望遠鏡などで雄花の着花状況を観察。1本ずつ6段階の点数(0~10点)を付け、100点満点で評価した。
自然環境保全センター(厚木市七沢)は県北部の8カ所を含む、計40カ所のヒノキ林で調査を実施。着花点数は34・1点となり、これまでの調査でもっとも多かった昨年度の52・5点を下回り、2015年度の34・7に近い値となった。
2012年の調査開始から5年間の平均値は43・9点。今回の調査結果は観測史上もっとも低い数値となった。
雄花の着花は、前年の7から8月の気象条件と相関するという。横浜地方気象台海老名観測所の記録によると、7月の日照時間が平年の98%、8月は94%と雄花が少なくなる条件となった。
県は「データ数が少なく、気象要因との関係はまだ得られていない」とした。
ヒノキの花粉は、スギ花粉よりやや遅い3~4月にかけて飛散する。花粉症の原因となり、スギ花粉症患者の7~8割がヒノキ花粉でも陽性反応を示す。
植栽の最盛期がスギより新しいヒノキは、雄花を着ける樹齢に達した個体が多くなり、飛散量も増えている。東京・大手町や横浜市の観測では、14年春にヒノキの花粉飛散量がスギを初めて上回った。
同センターでは、花粉の発生源対策として、花粉が少ないスギ・ヒノキを生産している。また、花粉をまったく飛散させない「無花粉スギ・ヒノキ」の開発を進め、今春には約5千本の苗木を出荷できる見込み。
(2017年2月20日号掲載)