ヒャッカ、「百年愛される製品に」/又野で無垢材の注文家具


作品に囲まれる岡林さん

作品に囲まれる岡林さん



百年愛される家具を目指して―。無垢材を使ったオーダー家具や生活雑貨を作る「ヒャッカ」(相模原市緑区又野)が、ことしでオープンして2年目を迎えた。「一つのものを長く使ってもらいたい」という思いを込め、一つひとつ手作りで製品を仕上げている。

工房を営むのは、座間市出身の家具職人・岡林厚志さん(33)。ブランド名「ヒャッカ」について、「大量に生産し、使い捨てる風潮に違和感があった。代々受け継いで使ってもらえるよう、単に丈夫なだけでなく、美しさや機能性もある家具を作るよう心がけている」と話す。

主力製品は、木目が美しいとされるブラックチェリーやウォルナット、メープルなどを使った家具。木材の質感や個性を生かすため、植物性オイルや蜜蝋ワックスなどで仕上げたシンプルなデザインが特徴だ。「メンテナンスフリーではないので手間がかかるが、人間関係のように時間をかければ愛着に変わるはず」と岡林さん。

定形の製品のほか、サイズやデザインを変更する「セミオーダー」、ゼロから製作する「オーダー」も対応。機能性と見た目が共存し、置く場所の空間や依頼者の好みに合わせて提案する。

オーダー家具は、依頼者とのコミュニケーションを重視する。希望やイメージを聞きながら、家具職人としての経験に基づいて提案も行う。

幼い頃から木で遊んでいたという岡林さんは、武蔵野美術大学を卒業後、都内の家具メーカーに勤務。在職中に現在の工房兼住宅を建て、15年5月に独立した。

自宅は岡林さんが手掛けたテーブルやいす、キャビネットなどの家具・雑貨があり、ショールームも兼ねている。仕事を請け負う際に依頼者を招き、質感やディティール、雰囲気を感じてもらうため、実際に生活で使っている家具を見てもらう。

岡林さんは「特注家具でも、一般の人に買ってもらえるように敷居を低くしたい。まずは家具を見に来てほしい」と反している。知り合った林業関係者から津久井産や多摩産などの木材を調達し、家具の試作にも取り組んでいる。
(2017年4月1日号掲載)

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