SIC、創エネフォーラム開催/参入企業が事例紹介


水素の利用方について語る大仲専務理事

水素の利用方について語る大仲専務理事

 さがみはら産業創造センター(SIC)が主催する「創・蓄・省エネフォーラム」がこのほど、市立勤労者総合福祉センター(相模原市緑区西橋本)で開かれた。次世代の電力安定供給を推進する企業や新たに水素・燃料電池産業参入に挑戦するベンチャーなどが、それぞれの取り組みや事業内容を報告した。

 技術研究組合「FC―Cubic(キュービック)」専務理事の大仲英己氏(元トヨタ自動車FC開発部部長)は、不安定で運搬や貯蓄に適しない電気を安定的に供給するため、一時的に「水素」に変えて蓄積・運搬する方法を提案した。自然由来の再生可能エネルギーの性質や、導入件数の増加で電力ネットワークへの負荷が増大していることを受け、研究を進めている。

 具体的には、料金が比較的安価な余剰電力を使って水を分解して水素を発生させ、水素タンクに貯蔵する。夏の猛暑日など、電力消費ピーク時にFCで電気を作り、購入電力の負荷を低減。高価なピーク時電力の使用を抑えることで、エネルギーコストの削減にも貢献する。

 大仲氏は「FCV市場の拡大には、官民一体となった水素社会形成への取り組みが活発化しなければならない」と指摘する。燃料電池セルやFCスタックなどの要素技術を紹介し、「FCは幅広い分野に展開できる潜在的可能性を秘めている。一方で、技術的に課題が多く、システムや材料、構造、製法の変革が必要」とまとめた。

 同フォーラムはエネルギーや環境関連産業のさらなる振興を目的に、県の協力で2012年から計12回開催。今回が最終回となり、新エネルギー産業への参入を狙う製造業などから約30人が参加した。

 参加した50代の経営者は「新エネルギーへの転換は必ず来るはずなので、関心がある。中小企業に情報を提供してくれる新たな取り組みを期待したい」と話した。
(2017年4月1日号掲載)

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