ブルー・スターR&D(相模原市中央区横山台)は、研磨ができる超音波バリ取り洗浄装置を開発した。ミニチュアベアリングのリテーナー(保持器)を製造する金属加工業向けに展開し、初年度はアジアや米国などを中心に年間10台の販売を目指す。
新開発の「全自動・超音波バリ取り研磨洗浄装置」は、従来の超音波バリ取り洗浄装置に「六角回転かご」を取り付けたもの。かごに1千~2万5千個程度のリテーナーを投入してスイッチを押すだけで、バリ取りから研磨、乾燥までを自動で行う。
加工時間は15分で従来(30分~1時間)の2分の1以下に抑える。基本周波数25キロヘルツの超音波に275キロヘルツまでのさまざまな周波数の超音波を乗せて多重波を発生させる。「キャビティー」と呼ばれる微細な真空の泡が発生と消滅を繰り返すことで、リテーナーの表面を研磨する。
超音波出力は従来のバリ取り装置では1200ワットだったが、同研磨装置は2倍の2400ワットに高めた。水のみを使用し、研磨材や洗剤などは投入しない。表面の汚れなど落とすので、さびを防ぐ効果もある。
リテーナーの研磨は「バレル研磨」が主流となっている。リテーナーのほか水や洗剤、研石を投入し、約1時間回転させてバリ取りや研磨を行う。手作業で石と製品を選別する作業、洗剤や研磨剤が混ざった廃水の処理などに手間がかかる課題があった。
柴野佳英会長は「作業時間の削減や重労働からの解放だけでなく、環境負荷も軽減できる」と期待する。
4月から納入を開始する。一式の標準価格は税込み3078万円。今後はプレス部品など、リテーナー以外のさまざまな小型精密加工部品への応用を目指す。
(2017年4月10日号掲載)