町田市小山ヶ丘の「石橋財団アートリサーチセンター(ARC)」が4月から本格稼働したことを受け、3日に施設で見学会が実施された。建て替え工事中のブリヂストン美術館(東京・京橋)のバックヤード機能として美術品の調査研究、保存修復、関連図書の収集保管を担う。美術への関心を高めてもらおうと、地域の教育機関と連携した「ラーニングプログラム」に力を入れている。
2015年5月に完成したARCは、新築工事中の同美術館が収蔵する国宝や重要文化財など約2600点を一括管理している。また、美術研究・普及の新たな拠点として施設の一部を開放し、子供向けワークショップや美術講座などの活動に取り組んでいる。
収蔵品はタイヤメーカー「ブリヂストン」の創業者・石橋正二郎氏が集めたコレクションが基礎となっている。石橋氏と親交があった藤島武二、青木繁のほか、ピカソやルノワール、モネ、セザンヌなど、日本と西洋を代表する作品も保管されている。
貝塚健学芸部長の説明によると、同地が地震と水害に強く、同美術館へのアクセス性が高いため選定した。建設が決まってから周辺に小中学校や高校、多摩美術大学があることが分かり、対外的な教育活動に取り組もうとワークショップや講座を開くホールを設けた。
作品を貯蔵する収蔵庫は額装された油彩画、水彩画や版画などの紙作品、立体彫刻と、素材や分野別に仕様が異なる3室に分けた。外気と内気を隔てて空調の性能を高める「二重入れ子構造」で、室温22度、湿度55度を維持している。
可動式書架に最大4万冊を所蔵するライブラリーは、所蔵作品に関連する研究書や展示会カタログなどを含む和書約1万7千冊、洋書約6500冊を保管。対象を教員や学生などの研究者に限定し、毎週木曜日のみ事前予約制で開示している。【2017年8月20日号掲載】