真田勉さん、自然体で地域貢献活動/法人会・石油商組合・リニア駅


燃料商3代目の真田さん

    燃料商3代目の真田さん



国道16号橋本五差路直近の相模原市緑区大山町でガソリンスタンドを経営する真田勉さん(64)は、相模原地域自衛官募集相談員、相模原法人会副会長をはじめ地域貢献活動に熱心にとりくんでいる。リニア中央新幹線駅の誘致にむけた署名活動に奮闘した経験もあり、法人会橋本支部長を務めた経歴もある。祖父以来、三代にわたり橋本で燃料関係の店舗を経営する家系で、橋本地域振興への思いは筋金入りだ。

(編集委員・戸塚忠良/2018年3月10日号掲載)

■橋本育ち

真田さんが生まれたのは1953年(昭和28)9月。相模原市が市制を施行する前の年で、国道16号はまだ2車線の平面交差。橋本駅南口近くの生家のまわりは麦畑ばかりで、「小さい頃はよくヒバリを追いかけて遊んだ」と往時をなつかしむ。

もともと祖父が炭や薪といった固体燃料を販売する商売をしていたが、固体燃料から石油への主力燃料の転換に伴い、父親の代に国道16号沿いにガソリンスタンド(GS)を開設した。

真田さんは高校を卒業後、GSの仕事を手伝いはじめた。車への親しみが深まるにつれて石油販売の社会的重要性を強く感じるようになり、父親の事業を受け継ぐ道を選んだ。

 

■相模原法人会

20代後半のとき、納税協力団体の相模原法人会青年部に入会した。若い経営者や後継者と商売のことや地域のことを真剣に語り合ったのは貴重な経験で、「このころ出会った仲間とは今でも交流がある」という。

後年、橋本支部長を務め、「研修会やイベントなどのときには、できるだけ多くの会員に参加してもらえるよう必ず連絡した。情報を共有することが人と人とのつながりの一歩だと思う」と力をこめる。

支部は現在、春の旅行、夏の橋本の名物行事である七夕祭りへの参加、秋のカラオケ大会を事業の柱にしており、各地の大災害の発生時には支部と美大生が協力してチャリティー似顔絵による募金活動などもしている。

また、七夕祭りの縁で平塚法人会と交流を深め、「平塚からもらった七夕飾りを手直しして橋本で使ったこともある」と、舞台裏のエピソードを明かす。

「法人会に入会するいちばん大きなメリットは多くの人と知り合いになれること。異業種交流の場にもなるし、同世代の人たちだけでなく先輩、後輩と本音の話ができる。ぜひ多くの人に入会してほしい」と、実感のこもる声で市内の経営者に呼びかける。

 

■リニア駅誘致

地域貢献の大切さに気付いたのは、40歳代の働き盛りのとき。ある先輩から「そろそろ自分の仕事だけでなく、業界や地域のための活動をしてもいいのでは」とアドバイスされ胸に響いた。その後は橋本駅周辺の振興を目指す活動に参加することが多くなった。

その中でも、大きな渦を巻き起こしたのは、リニア中央新幹線の橋本駅誘致促進同盟会会長としての活動。「私たちが頑張ればできる リニアの街橋本」を合言葉に、地元の住民と一体で神奈川県内駅を橋本に誘致しようと市内や京王線の駅などで署名活動を行った。

「駅南口に大型のビルが無く、相原高校がほとんど昔のままの形で残っていたことが誘致のためにはよかったと思う」と回顧する。

事業者であるJR東海が駅設置を決定したことから所期の目的を達した同会は解散し、現在は長いスパンでの街づくりを考える組織に移行した。真田さんはその委員を務めている。

 

■幅広い活動

駅周辺の将来について真田さんは「人が集まる街にしたい」と強調する。「街の活性化のためにはまず、たくさんの人、とくに若い人に足を運んでもらうことが必要。最近、橋本に進出したいと考えている企業や店舗が増えているのは明るい材料」と頬をゆるめる一方、「大きな課題もある」と話す。

その課題とは道路整備。「駅に乗り入れる4車線の道路がほしい。今整備しないとできなくなってしまう」と道路行政に注文をつける。

業界団体では県石油商業組合相模原支部副支部長を務めており、法人会では常任理事兼研修委員長などをへて副会長として活動している。

幅広い社会貢献活動に汗を流す真田さんだが気負う様子はなく、自然体のままだ。「できることをできる範囲でしているだけ。これからも地域と業界のためにがんばりたい」と淡々と語る。

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