河本文雄氏、先人の想いを次世代につなぐ責務/自民党中央区県議「安全・安心なまちへ」


市戦没者遺族会副会長も務める

市戦没者遺族会副会長も務める



相模原市中央区東淵野辺に生まれ育ち、桜美林大学卒業後は、相模原市農業協同組合に勤務した経歴を持つ河本文雄さん(61)。市議を経て現在、2期目の自民党県議を務めている。「安全・安心なまちづくり」に力を注ぎ、今は自転車事故の防止に向けた条例の制定に向け積極的に活動。開催中の6月定例会では自民党県議団を代表して代表質問に立ち、知事から「本年度中に条例の制定をする」との答弁を引き出した。それとともに、都市農業の保全・振興にも強い思い入れを持っている。「県と相模原市の更なる連携強化のために力を尽くしたい」と意欲を燃やす河本さんに話を  聞いた。

(編集委員・戸塚忠良/2018年7月1日号掲載)

■市議2代

河本さんは1956年、東淵野辺の農家の出身。父親の文吉さんは市議、市農業委員会会長などを長きにわたり務めた地域の功労者だ。大野小、大野北中、桜美林高校に学び、中高時代は柔道部で心技体を磨いた。

桜美林大学では経済学を専攻し、社会全般に対する関心を深めた。その一方、幼い頃から心に刻んでいた先祖を敬う気持ちは変わらず、今に至るまで名所旧跡に足を運ぶたびに、「先達がいて歴史があるからこそ今がある」との思いを深める。

卒業後は市農協に就職。充実した日々を送ったが、市議会議員の父・文吉さんが病に倒れ、「あとをやってくれ」と、次を託された。

「父を超えられないと思っていたし、ずっと農協に勤めるつもりでした」が、父親の言葉に加えて地域の人たちの期待の声が高く、市議選への出馬を決断し当選を果たした。

■コミバス

「市議になってからは、地域の人たちが行政に何を望んでいるかを知るため、意見や要望、相談にしっかりと耳を傾けました。もちろん、それは今でも変わりません」という。

住民からの相談は交通・道路の改善を望むものが多く、なかでも「交通手段がないため病院へ行くのにも苦労している」といった、公共交通の改善を望む高齢者らの声を多く耳にした。

当時、河本さんはコミュニティバスの運行を望む地域で多くの自治会長と対話し、検討委員会を立ち上げ、約5年で運行が開始された。

「運行には様々な条件があり、維持することは大変だが、これから高齢者が多くなることを見据え、大野北地区に現在運行している1路線に加え、新しい路線を運行できればと考えている」

 

■県議に転出

政令市移行後初となる2011年の統一地方選では県議選に出馬。中央区でトップ当選した。

「相模原が政令市になり、県から市へ様々な権限が委譲されましたが、農業に関するものは1つもない。農業政策は国・県・市が一緒に動かなければ進まないとの思いもあり、より広い視野で政治に携わろうと考え、決断しました」という。

15年の県議選でもトップ当選を果たし、1期目に蓄積した経験を生かして、県と市のさらなる連携を目指して活躍中だ。主な政策目標には「環境を守る」「暮らしを守る」「共に生きる」を掲げている。

環境については、「神奈川の水と再生可能なエネルギー、自然の環境を保全し、その有効活用を図っていく」という考えだ。

暮らしについては「災害時の減災のための取り組み、安全・安心な食の普及」を訴え、「県の活力を高めるための産業誘致と中小企業の雇用確保」を重視している。それとともに、新しい交通ネットワークの形成にも力を入れる。

共生社会の実現に向けては、「高齢者や子供たち、障害のある人たちが共に生きる社会を構築し、一人ひとりが生きている喜びを感じられる神奈川を目指したい」と語る。障害者雇用にも熱心に取り組んでいるのは、この思いがあるからだ。

また、農業政策への思い入れも変わらず、県議会で質問に立つときには必ず農業に関連する質問を盛り込んでいる。

■条例への取り組み

今、重要課題として取り組んでいるのは、相模原市が県内で最初に整備し、県議会では河本さんの代表質問で、知事が本年度中に制定するとした「自転車事故防止や事故後に安心を与える条例」の整備。

もう一つは県の都市農業推進条例の改定。「条例の中に生産緑地の位置づけを盛り込みたい」という。「これからの都市農業は農業者自身が積極的に取り組み、消費者の理解を得ることが大切」という思いに基づく提言だ。

県議会では建設・企業常任委員会副委員長や予算委員会委員、会派では政務調査会の筆頭副会長を務めており、忙しい毎日を送っている。

「中央区をモデルに相模原市を県下で一番の安心で安全なまちにしていきたいですね」と熱を込めて語る。

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