保険代理店の「ハピイ」(相模原市緑区橋本)は、創業32年の歴史を持つアフラック専属代理店。2代目社長の横山督さん(46)は母親が創業した同社の社長を2年前に引継ぎ、現在は市内2店舗を展開するまでに急成長させた。昨年から相模原市・町田市を中心とした同業保険代理店会(会員数約100人)の会長も務め、社会貢献活動にも熱心に取り組む。一方で、小学生から始めたテニスは学生時代から全国トップレベル。社会人となった今でもテニスを続け、35歳以上の社会人クラスで、全日本ランキング4位となったほどの腕前だ。まさに「文武両道」を地でいく経営者に話を聞いた。
■家業から企業へ
同社は1987年に同市南区で創業。当時からアフラック専属店。がん保険や医療保険など、同社の保険をすべて取り扱い、個人向けや法人の経営者向けの保険も取りそろえる。また、保険の見直しや人生のライフステージに合わせた提案も行う。
横山さんは10年前に医療系の外資系企業を退職し、創業者の母親が起こした代理店を継承することを決意。「家業から企業へ」をスローガンに、当時は母親が個人で経営していた会社の事業化・組織化に取り組んだ。現在ではスタッフ8人、JR横浜線橋本駅前と相模原駅ビル内に2店舗を展開するまでに急成長させた。
同社の強みは「店舗展開」。アフラックの国内契約件数は2000万件以上といわれる。駅前の好立地に出店することで、契約者が保険内容の確認や相談に訪れる。その際に他代理店の契約者が見直しで同社を訪れ、再契約するケースが多くあるという。
横山社長は「橋本駅前と相模原駅ビル内に出店したのは、今後の発展が期待できる地域性に着目した。リニア新幹線の開通、相模総合補給廠の整備など、より人が集まるまちになる可能性がある」と期待を寄せる。
また、店舗の来店者への対応だけでなく、「訪問チーム」は既契約者の個人宅や法人の経営者向け保険営業も積極的に行っている。同社は2015年から毎年、前年比130%成長を続け、今では地域ナンバーワンの中核代理店に成長。17年に横山さんは社長に就任した。
■地域貢献活動も
こうした実績がかわれ、横山さんは18年から相模原市・町田市を中心とした同業保険代理店会の会長も務めている。
同会は会員の研修のためのセミナーや親睦活動のほかに、「社会貢献事業」を大きな柱としている。毎年10月には町田駅で、「小児がん経験者・がん遺児奨学金制度」への寄付を目的とした街頭募金活動を行っている。集まった募金は、小児がんを経験した子供や親をがんで亡くした子供のための返金不要の奨学金にあてられる。
横山さんは「がんをはじめとする病気で闘う人々やそのご家族、地域の皆様の少しでも役に立てれば」と会長として言葉に熱を込める。
また、同社では駅前の好立地という特性を活かし、店舗内でがんの最新情報などを展示する「がんを知る展」なども不定期で開催している。
「見る・聞く・触れるを通じてがんのいまを知る展示会」がテーマで、たばこを吸う人の肺の模型や乳がん触診模型、がんクイズモニターなどを店内に設置。がんの最新情報を知ってもらい、「健康を考えるきっかけになれば」という思いからだ。
■テニスプレイヤー
そんな横山さんは全国屈指のテニスプレイヤーという顔も持つ。小学5年生からテニスを始め、中学2年生で関東チャンピオンに輝いた。法政大に進学後は体育会のテニス部ではなく、同好会に所属したが、全国トップレベルで活躍。学生の日本代表にも選ばれた。
社会人になってもテニスは続け、今も地元のテニスクラブで週に1回汗を流す。35歳以上の社会人クラスでは、全日本ランキング4位となるなど、今でも現役のテニスプレイヤーだ。
ことし4月には「全日本都市対抗テニス大会・兼国民体育大会予選」の県予選が相模原市で行われた。開催地である相模原市は2回戦で横浜市に敗れたものの、男子45歳以上ダブルスで出場した横山さんは、2試合とも勝利した。
46歳の横山さんだが、「不思議と学生時代から比べても、プレーが衰えたとは感じていない」と話す。将来はシニアのクラスで全国トップ、世界大会を目指したいと、その視線は今も上を見続けている。
まさに「文武両道」を地でいく横山さん。社会貢献活動にまい進する経営者としても、全国屈指のテニスプレイヤーとしても今後の活躍に期待したい。【2019年7月1日号掲載】