新型コロナウイルス感染症の影響は、#相模原市 内のインバウンド(外国人受け入れ)にも及んでいる。緑区東橋本で鍼灸(しんきゅう)院を営みながら、外国人アスリートの指導や治療を行う岡川智行さんは、#東京五輪 に向けて受け入れの依頼があった4カ国から、キャンセルや日程の延期の申し入れが相次いだ。一方で、大会が中止となり練習もできない国内アスリートの需要に対応し、起死回生を図ろうとしている。
ベトナムでは今月から現地での交渉、ネパールは4月から5月にかけてアスリートの訪日が計画されていた。特にイタリアは同国の内閣府スポーツ局からの依頼で、6月から五輪の開催期間を含む2カ月間、将来的に五輪代表を目指す強化選手約10人を受け入れる予定でだった。
1月30日に米国が中国への渡航を禁止したのを境に、各国・各地域では日本への渡航制限や日本からの渡航者に制限を設ける対応を取り始めた。イタリアやイスラエルからの依頼はキャンセルとなった。一部延期となった案件も存在するが、事態の収束が事業継続のカギとなる。
岡川さんがスポーツ・インバウンドとともに取り組む治療や指導によるアスリート支援でも、大学や高校の部活動の休止、プロや実業団の活動自粛などで収益は壊滅的な状況となった。これまでの高齢者の鍼灸治療のほか、「従業員に自宅勤務を進めるような、健康志向の企業」(岡川さん)への出張治療の営業に奔走している。
苦境の一方で、新たなビジネスチャンスも生まれている。臨時休校や部活動の自粛で、思うように練習ができない中高生や学生などの「練習難民」の引き受けだ。3月5日には、陸上部に所属する高校生と、相模原市在住のトレイルラン選手の合同練習を実現させた。
岡川さんは「少人数の指導なら感染のリスクも少ないはず。中高生なら保護者の同意があれば、パーソナルトレーニング(個別指導)などで対応したい」と話す。さらに「鍼(はり)治療は自律神経の調子を整え、免疫力を養う効果が期待できる」と勧めている。
【相模経済新聞3月10日号】