▽金沢市のカレー名店「三休庵」、相模原市内で復活/持ち帰り専門で伝統の味提供


色鮮やかな調理器具が並ぶ厨房で取材に応じる清水さん

色鮮やかな調理器具が並ぶ厨房で取材に応じる清水さん



 加賀百万石の城下町・#石川県金沢市 で愛され続け、昨年11月に惜しまれつつも閉店した「#三休庵駅西店」。その味を受け継いだ「#カレー処三休庵」が、テイクアウト専門のカレー店として #相模原市 中央区中央2丁目で6月1日に開業する。味を唯一受け継ぐ店として従来のファンの需要を取り込むとともに、神奈川・東京など関東エリアの新たなファンづくりを目指す。

#三休庵 のファンだった清水めぐみさんが、#カレー ソースを仕込む日に合わせて現地に足を運び、野菜の刻み方や火の入れ方などのカレー作りの指導を受けた。ソース作りに必要な撹拌窯は、金沢で創業当時から使われてきたものを運び込んだ。

タマネギや

ニンジンなど数種の野菜を細かく刻み、秘伝のスパイス(香辛料)を加えて溶け込むまで煮込む。さらに最低2日間、冷蔵庫で寝かせたソースはまろやかでコク深い味になるという。

83645990_2552483628349761_3512987866047184896_n清水さんは、以前から自身でも再現 しようと試行錯誤していたほど。カレーやスパイスを学ぶための講座に通って一から勉強し、著名なカレー研究家に相談しながら30年近いファンをうならせる味に仕上げた。

清水さんの夫が石川県出身で、初めて食べて「ほかのカレーにない独特な風味とコクが強い」という味の虜になった。帰郷の際に立ち寄るようになり、約10年通い詰めた。昨年の夏ごろに閉店と後継者を探す旨の告知を見て、「愛されている味をなくしたくない」と申し出た。

清水さんは「一から何かを始めることが好きで、業種にこだわらずお店をやりたかった。思うものをこだわり抜いて、何とか開店まで辿りついた」と語る。「都市と自然の魅力が混在し、リニア開業などで発展していく相模原に貢献したい」と、ファンが多くいる金沢より相模原を選んだ

店舗は相模原市役所の北側で、官庁街で働く人や来庁者など幅広い客層が期待できる。仏国のルクルーゼ製の鋳物ホーロー鍋をはじめ、カラフルな調理器具や食器が店内を彩り、女性や高齢者でも利用しやすい明るい店内となっている。

100875128_2552483585016432_3227039947185717248_nメニューは定番のカツカレー(税込み900円)に加え、肉系や魚介系、野菜系を日替わり(同800円)で用意する。各家庭で具を足したり、お気に入りの総菜を乗せたりできるようにルーのみの「素(す)ルー」(500円から)を提供。「伝統を守りつつ、地域や時代に合わせて新しいものを作りたい」と、金沢では出していなかったスパイスカレーも販売していく。

1985年創業の三休庵は石川県内に複数の店舗があったが、店舗の老朽化や店主の高齢化などで駅西店を最後にすべて閉店した。名物の「金沢カレー」とは一線を画すカレーとして市民らの胃袋をつかみ、県外からもリピーターが訪れるほどの人気だった。

相模原市印刷広告協同組合の日相印刷(南区麻溝台)が同店の看板やチラシ、垂れ幕などを手掛けている。清水さんは「相模原の人に愛される店にしたく、地元の企業や生産者、お客さまと一緒に地域を元気にするカレーを作っていきたい」と話し、地産地消や意見を聴いた商品開発にも取り組んでいく考え。

店名の「さんきゅう(3、9)あん」に合わせて3月9日にオープンを考えていたが、新型コロナウイルスの拡大と緊急事態宣言による自粛要請で延期。「自分の家族に食べさせられるものしか作らない」と、材料の安全性にもこだわる。

営業は午前11時から始め、ルーがなくなり次第終了する。土・日曜、祝日定休。大口の場合、事前に予約を。問い合わせは、同店080・4401・3939へ。

【相模経済新聞5月20日号掲載】

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