さがみ湖リゾートプレジャーフォレストを運営する相模湖リゾート(相模原市緑区若柳)と富士急行、SB(ソフトバンク)ドライブは11月25日、園内で自律走行バスの実証実験を報道関係者などに公開し、試乗会を行った。無人で運行するシャトルバスとしての導入を目指しており、自律走行バスの技術や車両内の乗客数を検知するセンサーの有用性などを検証した。
実証実験では、ハンドルがない自律走行車両「ARMA(アルマ)」(仏・ナビヤ製)を使用し、入園口から園内テーマパーク「パディントンタウン」までの約250㍍を時速3.6
㌔で走った。補助席などを使用すれば最大15人まで乗車できるが、安全に配慮して定員8人に限定して運行した。
SBドライブは、障害物を検知する「3D・2Dレーザースキャナー」やGPS(位置情報システム)などを設置したほか、公道での実証走行を前提とした車両に改造。道路運送車両の保安基準第55条による基準緩和認定を受け、ことし6月に車両のナンバーも取得した。
車両の座席とバス停に行動検知システム「フィッチヴィータ」(東洋インキグループ会社製)を設置し、着座人数や待ち人数を遠隔地から監視。SBドライブの自動運転運行管理システム「ディスパッチャー」で車両の状況や社内外のようすを映像で把握しながら、バスの出発時刻をリアルタイムで設定する。
保安要員としてオペレーターも同乗するが、バスの運行に関わる作業を行わずに効率的な運行を実現する。自動運転レベルは、緊急時も含めてすべて自動で操作する「レベル4」を達成した。
相模湖リゾートからは「乗車定員が少ないことや、繁忙期には通路を歩く人を避けて車両が動けなくなってしまうのでは」との声もあった。中村一也総務部長は「実証実験で安全性をどう担保するか見極める。将来的に人手不足となっていく中で、一つの解決方法として検討したい」と話した。
同社は17年、ロボットの開発・実証に向けた覚書を県と締結し、敷地内や設備を実証の場として提供している。法面の草刈りを行うロボット、窓拭きロボットなどを導入しているほか、今後も園内の課題解決に向けてロボットを導入していく考えだ。
同事業は県民生活への影響、発展性、注目度などに優れているとし、県の最先端ロボットプロジェクト推進事業に採択された。県とSBドライブはこれまで、小田急電鉄などと連携して江の島周辺の公道で自動運転バスの実証実験を行ってきた。
【2019年12月1日号掲載】