工業技術開発大賞、相模原・大和から各1社受賞/田中プレス工業とコアレスモータ


県内の中堅・中小企業が開発した優れた技術・製品を称える「第36回神奈川工業技術開発大賞」が決まり、相模原市内の企業から田中プレス工業(緑区西橋本4)の製品が優れていると認められる技術等に対して授与「奨励賞」を受賞。大和市のコアレスモータ(市中央林間4)が「大賞」に選ばれた。11月27日、横浜の県庁本庁舎において開催される表彰式で、黒岩祐治知事らから表彰状と副賞が授与された。

今年度は、22件の応募から大賞2件とビジネス賞2件、奨励賞3件を選出した。県内に事業所を有する中堅企業・中小企業などがおおむね3年以内に開発し、産業の発展や国民生活の向上に役立つ技術や製品が対象となる。

■奨励賞の田中プレス工業

田中プレス工業は、深絞り加工プレス時のしわ防止対策として開発したダイクッション装置「深絞りプレス加工用均圧エアークッションパット」で受賞。プレス機と材料を平行に保つ様に動作することで、プレス圧力を均一にすることができる可変式の均圧エアークッションパットとした。

プレス加工作業では、プレス圧力が材料に対して均一でないとしわが発生し、加工割れを起こすことが課題。対策として、エアークッションがプレス機内に設置されているが、傾きが生じてしわを防ぐことができないこともあった。

中小企業では人手不足が深刻化しており、対応策として業務プロセスの改善や工夫、省力化投資等により生産性を高めて、人材不足でも仕事が回るような取り組みが必要となっている。作業者が調整しているが、慎重に少しずつ作業を進めなければならないため、多くの作業時間を費やしている。

新製品は加工時の中間調整作業、不良品処理にかかる作業休止などがなくなることで、生産性の向上が見込まれる。プレス時の材料と金型の接触面が最小になり、金属粉の発生が抑制されて洗浄液の汚れの軽減や交換寿命の延長などの環境負荷の低減、エアークッションの負荷軽減によるプレス機本体の高寿命化なども期待される。

■大賞のコアレスモータ

大賞に選ばれたコアレスモータの「ギア内臓モータ」は、ギアヘッド(減速機)とモーターで構成されるギアードモーターについて、モーター内部を中空構造にすることでギアヘッドを完全に収納。ロボットに使用されているモーターで、求められている小型化・軽量化に対応した。

同社によると、モーター本体が回転するホイール型ギア内蔵モーターは、電動アシスト自転車や電動車椅子分野において車輪内部に容易に配置できることから注目されている。目立たないように配置できるため、本来のデザイン性を楽しむことができる。また、回転力が従来品の最大3倍出ることから、今まで乗り越えることのできなかった段差にも対応できるようになったという。

従来型ギアードモーターのギアヘッド体積は、全体の約50%を占め、小型・軽量化の壁となっていた。ギアヘッド、またはモーターが中空構造であれば、いずれかの内部スペースにもう一方を埋め込むことで小型化が可能となる。しかし、ギアヘッド内部にはギア、鉄心モーター内部には鉄心コイルと磁石が大きなスペースを占めているため、中空構造を利用したギアードモータの小型化は不可能だと言われていた。

【2019年12月5日号】

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