昨年10月の台風19号災害で影響を受けた神奈川県や相模原市、山梨県、東京都などは1月30日、国土交通省やJR東日本、中日本高速道路と共に「東京~山梨・長野 交通強靭化プロジェクト」を立ち上げ、都内で第1回会合を開いた。国と都県市、管理者が課題を共有し、連携・協力や強靱化に向けた取り組みの基本方針をまとめる。
台風19号の豪雨により、東京―山梨・長野間の主要な交通手段であるJR中央線、中央道、国道20号が同時に被災して交通が約1週間にわたり寸断。人の行き来や物流が止まり、沿線地域の経済活動に深刻な影響を与えたことがきっかけ。
東京・神奈川と山梨・長野は生活や物流、医療・観光などで日常的なつながりがあり、大動脈となる3つの交通網が隣接して並走。都県境地域を中心にぜい弱区間が多数存在している。
中央道では八王子ジャンクション―大月インターチェンジ間で8日間、国道20号では大垂水などで7日間の通行止めとなった。う回路となった国道412・413号で深刻な交通渋滞が発生したことなども課題として挙げられた。
藤野地域では、中学生が通学に民間企業の社員用送迎バスを利用しているが、JR中央線の運休に伴って社員が藤野駅まで通勤できないためにバスも運休となって通学に影響が出た。緑区内では200世帯が停電し、生活道路の寸断により復旧作業にも時間を要した。
観光は、相模湖駅前の観光案内所で10月の利用者数が例年より2割減少した。医療でも、藤野診療所の医師が通勤できず休診となった。
神奈川県はこれらを受け、道路や橋りょうなどについて、耐震化や多重性を確保する。災害時の緊急物資の輸送、救助・救急などの活動を迅速かつ円滑に実施するため、交通拠点へのアクセス道路などを多重性のある道路ネットワークとして整備。都市のどの地域にも複数の経路でアクセスできるよう計画的な整備を進める。
事務局の山梨県が公表した会議資料によると、ハード面では災害時にも寸断しない交通の強靭化、ソフト面では災害の影響を最小限に抑える交通マネジメントや早期復旧の必要性も指摘された。広域で起きる災害ではこれらの対策を図るために、都県や関係機関の連携が必要であることも確認した。
年度内に3回の会合を開く予定。2月中旬に方向性を意見交換して方針提案にまとめ、3月下旬に基本方針を作成する。