相模原市緑区東橋本で鍼灸(しんきゅう)院を営みながら、アスリートのトレーニング指導や治療を行う岡川智行さんは、政府の国内旅行喚起策「Go Toトラベル」を活用し、相模原を拠点とした「スポーツトラベル」に取り組む。地域の施設を積極的に利用することで経済活性化のほか、交流を通して将来のプロアスリートを目指す子供の意識高揚も狙う。
新型コロナウイルスの感染拡大は史上初となる東京五輪の1年延期を招いたほか試合や大会が延期・中止となり、志半ばで夢を諦めたアスリートも少なくない。特にマイナースポーツの一部には試合の観客動員数に応じて報酬が支払われる競技もあり、大きな減収を伴う中で競技力の維持に費用を捻出することは容易ではない。
Go Toトラベルの活用は観光だけでなく、出張などのビジネス目的の旅でも、要件を満たせば対象になる。宿泊・日帰り旅行代金の35%相当(上限は1人1泊あたり1万4000円)が支援され、合宿の費用の中で大部分を占める宿泊費の負担を抑えることができる。
トレーニングツアーには、12月に国内タイトル戦を控えているボクシング元WBOアジア太平洋スーパーライト級王者の近藤明広選手(35)が参加した。
相模原は都内や県内各エリアへのアクセスが良好で、宿泊施設や競技場、トレーニングに適したロケーション、スポーツ施設、医療・健康管理施設が豊富にそろっている点も魅力。今回、近藤選手が走り込みを行った城山湖周辺は急な坂があり、市内を拠点に活動するアスリートにとっても定番のトレーニングスポットとなっている。
体操教室「ジョイ・スポーツクラブ」(相模原市中央区宮下3)、サーフィンを通した青少年育成に取り組む「ケイエツ・ビーチクラブ」(茅ヶ崎市柳島海岸8)と連携。ほかの競技を通して普段使用しない筋肉の動かし方、呼吸法の会得することで競技力の維持・向上を図るという。
岡川さんは「人と会いにくい時代だからこそ、会えることに価値がある。アスリートと知り合ってもらうことでファンを増やし、観戦者や競技人口の減少に歯止めをかけたい」と意気込む。
岡川さんはこれまで、ことし開催予定だった東京五輪に向けて五輪代表選手など外国人アスリートの受け入れを進めてきたが、新型コロナウイルス感染症の影響で渡航の自粛やトレーニングのキャンセルが相次いだ。出場国の五輪委も東京大会の開催に懐疑的で、選手の選抜会も開かれないなど消極的だという。
【2020年10月20日号掲載】