「ベン・ヴィンド ア サガミハラ!(ようこそ、相模原へ)」。東京オリンピックに出場する水泳、女子バレーボール、カヌースプリントのブラジル代表選手が相模原市で事前キャンプを行ったのを機に、歓迎の意味と食文化を相模原の人などに知ってもらおうと、国民的料理「フェジョアーダ」の作り方を紹介する。市内や近隣自治体で生産された食材を極力使い、日系ブラジル人から教えを受けながら作ってみた。
フェジョアーダ(ポルトガル語で「豆を使った料理」の意味)は、豆(フェイジャオン)や野菜、豚肉、ソーセージ、ベーコンなどを塩と水で煮込んだ料理。ポルトガルとその旧植民地(ブラジルやアンゴラ、東ティモールなど)に根付いている。特にブラジルでは「フェジョアーダ・コンプレッタ」(完全なフェジョアーダ)と呼ばれ、日本でいうカレーのような地位を築いている。
ブラジルでは、フェイジャオン・プレトと呼ばれるフェイジャオン(黒インゲン豆)と豚の脂身、豚や牛の干し肉または燻製肉、生ソーセージ(サルシッチャ)、豚の耳や足、皮などを、ニンニクと岩塩でじっくり煮込む。素焼きの壺に入れ、皿に盛ったバターライスやかごに入れたパン、繊切りにして炒めたコウヴェ(ケール)、バターでベーコンとともに炒めたキャッサバやその粉などとともに食べる。
インゲン豆の生産者に行きつかなかったため、愛川町にあるブラジル食材を扱う店でフェイジャオンを購入。タマネギとニンニク、豚バラ肉(香福豚)は農産物直売所「ベジたべーな」(中央区青葉3)で購入した市内生産者のもの、ベーコンとソーセージは高座豚手造りハム(同区弥栄1)の製品を使用することにした。
調理は相模原市内のブラジル料理店に依頼するという計画だったが、市内でブラジル料理を扱う店を見つけることはできなかった。フェイジャオンを購入した食品店で紹介されたホセ・サンチェス・イシカワさん(34)に協力を仰ぐことにした。
見た目はソーセージやベーコンが入った「おしるこ」。食感こそおしるこそのものだが、甘みはまったくなく、シチューやカレーのような脂っぽさもほとんどない。むしろあっさりとしていて、味に慣れてくると思いのほか食べやすい。
イシカワさんは「見た目はほぼ同じでも、家や店によって作り方が違う。入れる肉や野菜も、好みや気分で変えたりする」と話した。
基本の材料 ベーコン(ブロック状のもの)=300㌘、豚バラ肉=200㌘、ソーセージ100㌘(4~5本)、黒インゲン豆(白インゲン豆でも可)=800㌘、タマネギ=2分の1個、にんにく=1片、オリーブオイル=大さじ1、塩(今回はモンゴル産岩塩を使用)=適量、こしょう=適量、水1・5㍑
作り方
1フェイジャオンは水1・5㍑に一晩浸しておく。
2浸した水にはアントシアニンなど栄養素が出ているので、水は捨てずに塩大さじ1を加えてそのまま30分ほど煮込む。
3ベーコンと豚バラ肉はおよそ2㌢角、ソーセージは幅1㌢程度に切って、タマネギ、ニンニクは粗みじん切りにする。
4鍋にオリーブオイルを入れて中火にかけ、タマネギとニンニク、ベーコンを炒める。しんなりしたら、豚バラ肉とソーセージを加えてさらに炒める。
5豚バラ肉の表面に焼き色が付いたら、肉汁、豆とその煮汁を加えてさらに10分間煮込む。塩こしょうで味を調えればでき上り。
※トマトやピーマン、オクラなどを刻んで入れる家庭もある。みそ汁のように好きな具材を入れて楽しむという。