県内を訪れた観光客(入込観光客)は17年以降2億人を突破していたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で1億人余りとほぼ半減した。「相模湖・相模川流域」(相模原市、大和市、座間市、海老名市、綾瀬市)では全体で6割減少し、8~9割減少した市もあり、観光・イベント関連産業は壊滅的となった。
1~2月は前年とほぼ同水準だったが、感染が拡大した3月以降は前年比で大幅に減少し、5月には前年比1割程度まで落ち込んだ。5月25日に緊急事態宣言が解除されてからは回復に転じ、10月には前年比8割程度まで回復。しかし、再度の感染拡大により、12月は前年比での減少幅が拡大した。
県観光企画課によると、観光客の推計延人数は19年に比べて47%(9618万人)減の1億849万人となった。日帰り観光客の推計延人数は同47.7%(8937万人)減の9794万人で、延観光客数の90.3%を占めた。宿泊客数は同39.2%(681万人)増の1054万人となった。
相模湖・相模川流域(相模原、大和、海老名、座間、綾瀬)では、前年比60.1%(830万人)減の550万人となり、湘南、箱根・湯河原、丹沢・大山など県内全地域のうち減少率が最大となった。特に相模原市では、「相模原麻溝公園」の観光施設における来訪者の大幅減や、「相模原市民桜まつり」などのイベント中止などにより、647万人減少した。
相模原市以外の都市では、大和市が「高座渋谷千本桜・桜ヶ丘さくらまつり行事」などの中止で、86.2%(116万人)の減少。加えて、綾瀬市同97.6%(19万人)、海老名市同86.2%(20万人)、座間市72.2%(29万人)とそれぞれ減少したことで、地域全体で大幅な減少となった。
相模原市内の観光地点・施設・行事では、観光客数がもっとも多かった「相模原麻溝公園」でも、73万1千人と例年の6割程度に落ち込んだ。次いで「県立相模原公園」はやや減少して69万8千人となったが、「水郷田名」は20万1千人と3割以下まで減少。年間150万人が訪れるとされる「宮ケ瀬」(県推計165万人)は清川村の観光地点として計上されている。
「横浜・川崎」「三浦半島」「湘南」「箱根・湯河原」「丹沢・大山」「相模湖・相模川流域」の地域でもっとも観光客数が多かったのは横浜・川崎地域(3365万人、同55.7%減)となった。横浜市では主要観光施設における来訪者の大幅減、「ハマフェスY161」、「横浜開港祭」、「ヨコハマ大道芸」のイベント中止などが原因となった。
前々年最多だった箱根・湯河原地域は、「小田原城址公園」の観光施設における来訪者の大幅減や、「小田原北條五代祭り」のイベント中止などにより観光客が減少。箱根町でも下半期の入込観光客数は、台風19号の影響などを受けた19年を上回ったが、地域全体で988万人(同31.5%)の減少となった。