電球の交換や家具の組み立て―。淵野辺を中心に相模原市中央区や町田市など半径5㌔圏内に1800戸の物件を管理する東郊住宅社は今月から、「ちょっと人の手を借りたい」というときに短時間・軽作業の家事代行をするサービス「ゴーヨーキーキー」を始めた。入居者やオーナーとのコミュニケーションツールとすることで要望や課題を早期に把握し、管理業務の円滑化や効率化などを図ることが狙い。
想定する作業は、特別な技術や資格・免許を必要としない、電球や部品の交換、家具の移動、パソコンの設定など「ちょっと手を貸してほしい」というようなもの。専門の家事代行サービスは1時間単位で料金を支払うのに対し、5分100円(30分以降300円)とワンコインで細切れの時間から依頼できる。
同社の〇〇〇〇さんは「無料だと頼みにくい小さなことでも、少しでも料金をいただけば頼みやすいはず」と話す。入居者やオーナーの紹介があれば、出張料500円を負担することで第三者でも利用できる。
構想は、同社が4年前に始めた入居者・オーナー向け食堂「トーコーキッチン」の検討段階で案にあった弁当の配達サービスに始まった。安全面や衛生面の課題があり実現には至っていないが、「外出が困難な高齢者や子育て中の主婦向けの手伝いができないか」という思案は続いていた。
きっかけは、家賃の支払いに来た高齢の入居者から蛍光灯の交換を頼まれたこと。蛍光灯は購入したものの自分では交換できず、そのためだけに同社のスタッフを呼ぶのもはばかられ、支払いの時期を待っていたという話だった。「サザエさんのサブちゃんのように、顧客先に訪れたときにちょっとした手伝いができないかと考えた」という。
対象は高齢者だけではない。育児や妊娠中で外出をためらう女性の利用も想定している。〇〇さんは「子守を代行することはできないが、ほかの家事を代行することで美容院や病院などに行く時間を作ってもらいたい」と語った。
賃貸料の支払いは、口座振り込みや引き落としではなく、同社では窓口払いが基本。一般的に不動産会社と入居者は契約時にしか接触機会を持たない傾向だが、入居者に安心・安全・快適な賃貸生活を継続して送ってもらうためには、日常的なコミュニケーションが重要と考えているからだ。
この考えから生まれたサービスの1つがトーコーキッチンで「食」を媒体としているコミュニケーションツールで、ゴーヨーキーキーは「生活」を媒体とした。池田峰社長は「〝淵野辺での賃貸生活は楽しい〟〝コミュニケーションをとると一層楽しくなる〟という価値を提案・提供したい」と話した。
【2020年10月1日号】