相模原市の若手職員、中山間地域の「もりあげ」検討/暮らしや働き方で振興策提案


相模原市は、中山間地域の課題解決や振興を図るため、若手職員による会議「中山間地域をもりあげるワーキング」(通称=もりワーク)を設置し、新しい日常に対応した豊かな暮らし方や働き方の実現に向けて検討を進めてきた。JR藤野駅近くのテレワーク拠点「森のイノベーションラボFUJINO(ふじの)」(略称=森ラボ)のように、すでに実証段階に進んでいる事業もある。

もりワーク 同市緑区の中山間地域(主に津久井、相模湖、藤野の旧3町)は「中央道やJR中央線で都心から約1時間圏内とアクセス性が良好で、歴史・文化や豊かな自然などの魅力がある」とする。一方で区内の橋本、中央区・南区と比べて高齢化や人口減少が急速に進むほか、空き家や災害、野生鳥獣被害などの課題も抱えている。

もりワークでは全庁で10人を定員に公募した結果、事務・土木・保育士・社会福祉・薬剤師、消防など多様な部署・職種から29人の応募があった。「働き方」「暮らし方」「遊び方」「繋がり方」の4テーマを柱に、6班に分かれて、ミーティング、フィールドワークへの参加、現地視察などを行った。関係交流人口の増加や移住・定住の促進、観光振興、地域活動の担い手育成などの視点で検討してきた。

森ラボは「働き方」をテーマに検討を進めてきた健康増進課・辻野元基さんらの班が提案した。交流・関係人口の創出、移住・定住の推進などにつながる効果的な取り組みを検討。利用頻度が少なかった藤野総合事務所会議室棟の有効利用を図り、7月の実証開始から3カ月で240人を超える登録者で、1日平均10人の利用があるという。

市幹部からも「コロナ禍という危機をチャンスと捉え、ライフスタイルやビジネススタイルの変化を振興に生かした点は全国でも先進的ではないか」などと好評価を得ていた。

5日の最終回では4テーマ、6班の横断的な施策を検討した結果をまとめ、若手職員全体の提案として発表した。中山間地域を「オクサガ」と呼称し、限られた人・ものを最大限に活用できるようスマートシティーを先駆けて導入。ノウハウを他の地域に展開することで地域循環共生圏を形成し、総合計画で掲げる将来像を実現したい考え。

本村賢太郎市長は全グループのプレゼンを聞き、「真剣に相模原を思い、市に対する大きい愛着があるのだと分かった。できないと諦めず、どうやったらできるか考えてチャレンジしてほしい」と激励した。

アルプス技研の松井利夫最高顧問が市の参与(非常勤特別職)として出席し、「実践に向けて検討を進めていく中で、夢が膨らんでいくことが大事。起業して自分で経営していく自信があれば成功する」と講評した。

もりワークの提案は今後、上部会議の市中山間地域対策検討会議で内容などを精査。実現性の高い事業や特に大きな効果が見込まれるものは、26日に開催する予定の市まち・ひと・しごと創生本部会議に提案し、22年度からの事業実施につなげていく。

【2021年10月11日発行】

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