県が9月21日に公表した令和3(2021)年地価調査(7月1日調査)では、相模原市全体の住宅地と商業地で平均変動率が上昇に転じた。特に橋本駅周辺の住宅地が始発ターミナル駅としての利便性に加え、リニア中央新幹線建設の進ちょくによる発展的期待感などを受けて大きく上昇。住宅地では変動率3・4~4・5%と大きな伸びがみられ、上位10地点中2、3、7、9位の4地点を占めた。
住宅地では、相模原市全体の平均変動率が0・3%(前年マイナス0・1%)と昨年の下落から上昇に転じた。横浜市や川崎市と異なり、上昇地点が39・2%(前年21・6%)と約4割に留まり、下落率もやや大きいことから市全体では若干の上昇に留まった。上昇率を区ごとに見ると、緑区は0・2%、中央区は0・4%、南区は0・3%とそれぞれわずかながら上昇となった。
緑区の橋本駅周辺と外縁部では、利便性や駅周辺の土地の希少性、リニア中央新幹線事業の進捗による発展的期待感から、上昇を継続している。南区の相模大野駅、町田駅等のターミナル駅徒歩圏等では、都心への利便性が高く、需要があるが供給機会が少ないエリアであるため、希少性があり、引き続き上昇となった。
個別の地点では、前回、上昇率で全県2位だった橋本1丁目(27万8000円/㎡)は、上昇率4・5%(前回3・9%)で2位を維持。また、前年の上昇率が3・8%で3位だった西橋本2丁目(28万5000円/㎡)は、4・4%で3位を守った。
一方で、昨年4位だった橋本5丁目(31万3000円/㎡)が3・6%(同3・4%)で、7位に順位を落とした。昨年からの選定替えで5位に入った、相模大野駅から南に約700㍍の相模大野7丁目(33万3000円/㎡)は、変動率を3・4%(同2・9%)としたが9位に後退した。
大和市の中央2丁目(21万8000円/㎡)は、変動率4・3%(同2・0%)で、前年の34位から4位に大きく順位を上昇した。大和スポーツセンター(上草柳1)から南に約100㍍、大和駅から北西に約350㍍の地点で、駅の1㌔圏内には市文化創造拠点シリウスや子育て支援施設などがあり、生活の利便性が向上しているためとみられる。
相模原市の商業地では、橋本駅周辺地区で駅周辺の整備発展や商業集積の期待感から市内でもっとも地価が上昇しているが、旧津久井郡の下落傾向が続くため緑区平均ではマイナス0・5%の下落となった。
中央区は駅に近い地点で1%未満の上昇となったが、中心部から離れるほど横ばいになるなど0・2%(同マイナス1・2%)下落となった。南区では相模大野駅南口周辺の地価の回復基調が他の区よりやや強いため、旧来からの商業地での横ばいの動きとあわせ区平均では1・3%(同0・3%)の上昇となった。
市全体としては0・2%(前年マイナス0・8%)と上昇に転じた。橋本2丁目(66万5000円/㎡)の上昇率が4・1%(同3・9%)とわずかに上昇率が拡大したが、県内で9位と順位も落とした。
工業地では、県全体の平均変動率は下落地点がなくなり、2・5%(前年1・5%)と1・0ポイント上昇率が拡大。ネット通販関連の貨物業者などの需要が旺盛なことから、物流適地や倉庫適地に需要の増加が見込まれている。一方で、製造業系工業地では、コロナ禍の影響で工場や機械設備投資の減退、個人消費の落ち込みから横ばいで推移する地点もみられた。
相模原市は全体の上昇率が2・9%(同2・1%)とわずかに拡大し、上昇に転じた。前年は緑・中央・南の全区で変動率が下落したが、今回は緑区と中央区はそれぞれ3・0%、南区は2・9%の上昇となった。
厚木市上依知(11万2000円/㎡)は変動率を6・7%(同5・0%)に上げて上昇率2位、同市下依知1丁目(11万8000円/㎡)は5・4%(3・7%)で3位(順位は維持)となった。
【2021年10月1日号】