さがみはら産業創造センター(SIC、相模原市緑区西橋本5)と神奈川工科大学(厚木市下荻野)は9月29日、産学連携で中小企業の技術課題の解決や共同研究、研究成果の実用化支援などを行うことで産学連携協定を締結した。地域企業の新分野進出、技術課題に対する相談、指導、人材育成等を通じて地域経済の活性化を図る。実学教育を通じて、地域社会で活躍する学生を育成することも目的としている。
両者は2004年4月に産学連携事業に関する協定を締結していたが、同大学からの提案で技術や産業動向など時代のニーズに合わせて、より実効的、かつ充実した取り組みとするために協定内容を見直した。SICが企業の情報や採用を学生(大学)に提供し、キャリア形成やインターンシップなど就職活動を支援する事業を加えた。
17年間の連携関係はSIC職員が同大学の研究室を視察することから始まった。その後、SICが事務局を務める南西フォーラム(首都圏南西地域産業活性化フォーラム)の理事に就任するなど相模原市や市内産業との連携も深めている。
SICの橋元雅敏社長は「互いの得意分野を生かした中で、地域経済の活性化や社会で活躍する人材の育成など、目標の達成に向けて尽力したい。協定を実効性、持続性あるものにしていくことが大事」と話す。
同大学の小宮一三学長はSIC内のロボット関連企業を視察し、「相模原市内の製造業は1千社ほどあると聞き、キャパシティーがありレベルも高い。SICとの連携で(神奈川工科)大学初となるベンチャーが実現できるのでは」と期待している。
当日はSICの橋元社長と相模原市経済部の若林和彦部長らが同大学を訪問し、IoTスマートハウス高度見守り技術を研究するホームエレクトロニクス開発学科など私立大学研究ブランディング事業の研究現場を視察した。相模原市内企業の富士工業(中央区淵野辺)と3年かけて、通信規格から開発に携わったというレンジフードなどに関心を寄せていた。
神奈川工科大学は18年度に文部科学省の「私立大学研究ブランディング事業」に採択され、研究成果を基に自治体や企業、地域住民と連携して高齢者の「健康」「安心」「生きがい」をサポートする先進高齢者支援システムの構築を推進。同事業の期限は5カ年で、4年目となることしは実用化に向けて実証実験でシステムを煮詰めていく時期となる。相模原市のものづくりやITなどの技術が、同事業をどう後押ししていくか注目される。