ギオン、燃料電池自動車「MIRAI」導入/環境に配慮した製品を積極導入へ


「地域と共生し地球と共存する企業」を目指す総合物流業のギオン(相模原市中央区南橋本)はこのほど、主に役員が使用する社用車としてトヨタの燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」1台を導入した。環境に配慮した取り組みについて「できる企業ができることから取り組む」(ギオン広報)との考えで、祇(ネに氏)園義久会長は「ミライを走らせることで、ミライの普及や環境負荷低減の一助になれば」という思いで選んだ。

ギオンが社用車として使用する燃料電池自動車

ギオンが社用車として使用する燃料電池自動車



ギオンが導入したのは2020年12月にフルモデルチェンジした2代目。燃料電池スタック(発電装置)を小型・高出力化し、新制御方式を採用したことで発電効率を向上。先代比で約30%増となる約850㌔の航続距離を実現した。レクサスやクラウンなど高級FR(後輪駆動)車向けプラットフォームをベースに、ボディー剛性を強化したものが採用されている。

販売した神奈川トヨタ自動車は「地域で影響力の大きい企業にカーボンニュートラルの観点からミライを選択いただいたことは、非常にありがたい。これをきっかけにより多くの企業に興味をもっていただければ幸い」としている。

同社によると、2代目ミライの県内初年度売り上げは約300台で、「初代をはるかに上回る」(渉外広報部)としている。ミライなどFCVについて「今後のグリーン水素活動のけん引役を担えるよう啓発活動を続けていく」としており、商業施設内での啓発イベントなどを通じて環境意識の高い個人や企業にアピールしていく考えだ。

祇園会長は「環境にやさしいミライだが、普及するにはインフラの整備や価格などの課題が残っている」と指摘する。同社も購入時には、経済産業省のクリーンエネルギー自動車の導入補助金を活用した。

市はFCV購入・リース費のうち一律30万円を交付する制度も設けているが、710万~860万円と一般消費者には手が届きにくい価格。市内の水素ステーションは移動式2カ所(中央区弥栄、南区麻溝台)、定置式1カ所(中央区南橋本)と少なく、頻繁に外出する人や外回りが多い企業には不安がある。

ギオンは、日野自動車の子会社ネクスト・ロジスティクス・ジャパン(NLJ)の実証実験にも協力。ダブル連結トラックを使って相模原市と兵庫県西宮市間で効率化などを検証し、19年12月の事業開始から1年でCO2排出量の32%削減を実現。「今後も企業活動において、できる限り地球環境にやさしいものを取り入れていく予定」としている。

神奈川トヨタ自動車渉外広報部は「試乗車を用意している。気軽に問い合わせてほしい」と呼び掛けている。問い合わせは、同部045・459・2216へ。

【2021年11月10日号】

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