相模女子大、愛知県企業と共同研究で宇宙食開発


相模女子大学(相模原市南区文京2)は、愛知県内の民間企業と共同研究で「名古屋コーチン味噌煮」を開発し、1月18日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)から「宇宙日本食」としての認証を取得した。東海地方の食材を使い、食やかみ応えを残し、宇宙空間でのストレス軽減を目指したことが特徴。JAXAが管理する国際宇宙ステーション(ISS)食品リストに加えられ、 ISSに滞在する宇宙飛行士が希望した場合に宇宙食として提供されることとなる。【2021年2月1日号相模女子、宇宙食の認定

プロジェクトでは、「味」「健康」へのこだわりを追求しつつ、 宇宙での食環境や栄養の問題を検討した。ISSや宇宙船には食材を温める装置があるが、安全のために非常に時間をかけて温めるという課題がある。JAXAからは「ご飯さえ温めれば、おかずは温めなくてもそのままでもおいしく食べられる」ものを求める要望があった。

相模女子大学栄養学科の学生チームは、宇宙食はゲル状になったものが多いことに着目し、「咀嚼(そしゃく)ができるような食べ応えのある形状のもの」を提案。「宇宙飛行士のストレス軽減につながる」などのコンセプトをもとに、栄養バランスを考えて多種の素材を使うこと、東海地方の食材を使うことなどに配慮した。

相模女子、宇宙食2 完成した宇宙日本食は、名古屋コーチンやゴボウ、こんにゃくなど多種の素材を老舗まるや(愛知県)の八丁味噌を使用した出汁で炊き上げ、「そのまま食べてもおいしい」というおかずに仕上げた。宇宙食の製造段階で必ず高温で殺菌処理をしなければならず、焦げやすい味噌の使用量を検証し、香りやうまみ、発酵食品としての特性を生かした製品とした。

同大学によると、自治体の「ふるさと納税」担当者から、「宇宙食の返礼品があればおもしろい」というコメントがあり、返礼品に採用される可能性もあるという。保存期間を延長できれば防災食として利用できる可能性もあり、住民の防災意識を高めるPR活動に活用できると期待される。

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