相模原市から東京2020五輪・パラリンピック競技大会の組織委員会に無償で提供した「津久井産木材」が、公共施設の家具などとして順次利用を開始されている。選手村ビレッジプラザに使われ大会終了後に返却される木材の活用方法として、五輪の記録を将来に伝えるとともに、地産材の魅力をアピールしようと検討していた。
第1弾は、本庁舎本館や区役所など21カ所に順次、返却木材の一部を使った「木製ソファ」(幅150㌢、奥行き60㌢、高さ45・5㌢)を置く。CO2排出量の抑制に配慮した家具「カーボンストックファニチャー」をベースデザインに製作したもので、「USED IN VILLAGE PLAZA(「ビレッジプラザで使われた」の意味)」の焼印や説明プレートを表示している。
24日には木材を伐り出した地元に「木を還す」との想いから、市立藤野中学校(緑区日連)や津久井まちづくりセンター(同区中野)にも設置した。同センター総務班では「(1階のロビーに)木の香りが広がって良いという市民の声をいただいている。津久井地域は自転車ロードレースの会場にもなったので、ベンチが五輪の記憶を将来に残す手伝いになるのでは」と話す。
市が2019年に提供した木材は、上岩生生産森林組合が所有する山林(緑区佐野川)から杉本林業(同)が切り出した、計8・2立方㍍(約160本、4㌧トラック1台分)のスギ材。柱、梁、屋内の床、フェンスなどとして使われた。
3月22日には、本庁舎1階ロビーに木製の総合案内カウンター(幅340㌢、奥行き83㌢、高さ100㌢)を設置する予定。五輪・パラリンピック組織委員会から贈呈された記念エンブレム盾を埋め込む。
4月には林業事業者などで構成する「さがみはら津久井産材利用拡大協議会」を通じて積み木を製作する予定。子供関連施設への貸し出しやイベントなどで活用する。
津久井産材の生産量は近年で年間約4千立方㍍。市は地産地消や森林保全の観点からも、津久井産材のブランド力を向上させようとしており、17年度から同協議会が産地証明制度を導入している。
市森林政策課は「これらの取組を通じて、さがみはら津久井産材の普及・啓発も行っていく」としている。