はばたく企業&商店街に相模原から2社・団体/経産省


経済産業省はこのほど、さまざまな分野で活躍する「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に相模原市内に本社を置く大協技研工業(南区相南1)、同市内初の「はばたく商店街30選」に橋本商店街(緑区)を選んだと発表した。革新的な製品開発・サービス創造や地域経済の活性化、国際競争力の強化への取組が加速されることを期待したもの。

■粘着製品の大協技研工業

大協技研 「需要獲得」で受賞した大協技研工業は、粘着製品の企画、設計・開発、加工、販売まで手掛けるトータルプランナーとして1986年に創業。相模原と座間の県内2拠点と長野県、沖縄県のほか、フィリピン、タイ、インドネシアなどアジア圏への展開を進めている。

粘着製品を単に加工・生産するのではなく、要望にあわせて形状や使用用途に最適な材料の調達、企画、設計によるオーダーメイドで、オリジナル商品を提供する技術力を持つ。粘着に関する技術については複数の特許を保有している。

品質においては、海外拠点を含め大協グループ全体でダイキョー・クオリティー・マインド (DQM)を提唱し、顧客に対する技術と品質の責任を果たすべく、グループ一丸となった体制作りで優位性を築いている。

創業当初は粘着製品の受託加工を中心としたビジネスモデルだった。受託加工市場の縮小と競争力の強化を考慮し、自社商品を主軸としたビジネスモデルへの転換を図ってきた。受託加工で磨き上げた粘着技術を基に立ち上げた自社ブランド「IVY(アイビー)」を中心とした商品展開でブランド力を高めていった。

クリーン関連製品事業では、商品の提供だけでなく、5Sセミナーも合わせて提供する。本質的な顧客課題の解決に繋がるサービス事業へも事業領域を広げているという。

フィリピン、タイ、インドネシアの3拠点では、原料調達から、企画、加工、販売まで一貫して現地で実施している。タイでは、現地のニーズにあった商品を企画段階から対応できる体制を構築している。フィリピンでは、DQM理解促進の取組としての工場見学や5Sセミナーを実施している。

今後、台湾への進出を計画しており、中長期的にはインドの自動車市場への参入も視野に入れている。自社工場にこだわらずスピードを重視し、現地企業とのパートナーシップを生かしたビジネス展開を検討している。

■市内初のはばたく商店街

橋本商店街 橋本商店街は、18年に情報発信ツールとして運用を開始した「橋本アプリ」と、アプリを活用したイベントなどの取り組みが評価された。コロナ禍でも感染拡大を抑止しながらできるイベントを模索した結果、アプリにスタンプラリー機能を付加して非接触で密にならずに商店街を周遊できるよう工夫した。

商店街の会員加盟数はアプリの運用を始めた18年当時は8人、19年は12人だったが、アプリを組合事業の柱として位置付けた20年は上半期だけで20人が加入するようになった。

アプリのダウンロード数も好調で20年12月で約3千件に。各販促事業が功を奏し、1日あたりの歩行者通行量は18年5520人、19年5792人、20年6129人と3年間で10%以上増加したという。

同商店街は1965年に市内で初めて法人化。商店街を会場に橋本七夕まつりやハロウィンフェスティバルなどを開催するほか、個店が専門家として利用客に専門知識を伝える取り組み「まちゼミ」など独自の事業を実施。年々会員数が増加しており、現在は会員数154人、店舗数約500軒にのぼる。

古橋裕一理事長(相陽建設社長)は、選定企業・商店街を紹介する冊子に「先人が築き上げ守ってきたからこそ今がある。その事実を大切にしながらも、どんどん新しいことにチャレンジしている」とコメントを寄せた。

中小企業庁では14年から、さまざまな分野で活躍する中小企業・小規模事業者を「がんばる中小企業・小規模事業者300社」として認定している。「各地域で展開する中小企業・小規模事業者らの活躍の舞台を世界に広げてほしい」という考えから、16年から名称を「はばたく」に変更した。

▽生産性向上▽需要獲得▽人材育成―の3部門で表彰があり、経産相は「先進的な取組にチャレンジし、成功されている中小企業などの知恵と成果を掲載している。取組をヒントにし、今、抱えている課題を解決してほしい」としている。

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