相模原市緑区西橋本の整体サロン「俺の一押し」はこのほど、マイクロバスを改装した移動整体車を導入し、「トラベリングサロン」としてイベント会場やキャンプ場、事業所などへの訪問施術を行っている。自粛やテレワークで疲れた人、育児・介護などで外出が困難な人、感染症対策に奔走する医療機関の関係者などの需要を取り込みたい考え。【2022年3月1日号】
立川暁輝さんは業界歴約20年で、相模原北警察署の向かいに整体サロンを開業して5年目となる。新型コロナウイルスの感染拡大後は需要が低迷し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間中は以前の2、3割に激減した。「変わったことに挑戦する事業者しか生き残れないのでは」と、2021年5月に移動整体車を導入した。
「整体を受けたいけど、外出したくない」「出張してほしいけど、家に上げるのはためらう」という人向けに何かできないかと考案したのが移動整体車だった。自動車販売店のイベントや企業の福利厚生としての利用に加え、青野原のキャンプ場に出張して宿泊者への施術も行う。利用者は30~40代の女性が中心で、医療や保育などで働きながら子育てをする人が多い。
車両は定員11人以上のマイクロバスを自動車の改装業者の手を借りてフルオーダーで改装したもの。米国の高級ブランドをイメージした青緑色の外装に、西海岸風の内装で、「注目して、覚えてもらえるデザイン」(立川さん)とした。2基の固定寝台のほか、持ち運びできる寝台を搭載。乗車定員10人以下となるため、普通自動車免許でも運転ができるという。
「ロングバンなどでも施術は十分できるが、天井高が低く立ってあるけないため窮屈」(同)と、天井高が180㌢前後確保できるマイクロバスを選んだ。
車内には、発電機などの外部電源があれば使用できる家庭用のルームエアコンを備えている。特殊な工事が必要となるため、設置費用(本体別)だけで100万円以上かかる。室内の空気を外に出しながら冷暖房を行う「排気換気」に対応しており、県の感染症拡大防止事業補助金を活用できた。
マイクロバスが進入、駐車できる場所であればどこでも出張して施術できるので、川のせせらぎや虫の鳴く声を聴きながら整体を受けられる。立川さんは「店舗にないものもあり不便さを感じることもあるが、店舗にはない良さもある。非日常を体験してほしい」と勧める。
料金は10分ごとに1000円で、別途出張費などが必要。長さ6・3㍍、幅2・2㍍のマイクロバスが駐車できるスペースがあれば、個人宅や事業所などでも訪問できる。
「母が事故に遭って整体院で治療を受けたとき、人の役に立つ仕事をしたいと考え、その場で弟子入りした」と話す立川さん。「移動整体の先駆者としてシェアを拡大し、将来的にはフランチャイズ展開したい」と展望を語るほか、「水道やエンジンをかけずに使用できる暖房なども備えている。災害時に被災者のストレスや疲れを癒す活動も行いたい」とも話した。