県内の公示地価、相模原市内で好転するも格差拡大/橋本駅近くで住宅・商業好調


商業地で上昇率1位となった「橋本2丁目10ー24」の地点

商業地で上昇率1位となった「橋本2丁目10ー24」の地点



国土交通省が3月22日に発表した公示地価で、相模原市全体において住宅地と商業地の平均変動率が再上昇した。リニア中央新幹線新駅が設置される橋本駅周辺でも商業地の上昇率が5・8%に拡大(前年3・6%)し県内の上昇率順で1位になったものの、県内トップ10入りしたのは計2地点に留まった。緑区の中山間地域では住宅地と商業地でそれぞれ下落に歯止めがかからず、同じ市内でも地域によって明暗が分かれている。【2022年4月1日号】

住宅地では、2021年当初から緊急事態宣言等が出される状況下であったが、19年のコロナ禍により不動産取引が停滞した状況と異なり、マンション適地や住環境、利便性が良好な住宅地への需要があって地価は平均で上昇に転じた。相模原市中央部から南部において、昨年の地価公示では、先行き不透明感などから横ばいとなった地点が再び上昇に転じて上昇地点が前年より増加した。

緑区は1・0%上昇したものの、中央区と南区は1%未満の上昇となり、3区全体の上昇率は0・8%(前年マイナス0・1%)とわずかな上昇へ転じた。緑区の橋本駅周辺や徒歩圏内の外縁部では、東京都心部への直通路線である京王相模原線の始発駅という優位性があり、住宅需要も堅調であるため、コロナ禍以前の勢いには戻っていないものの上昇傾向が継続している。バス圏では橋本駅西側の原宿地区などでも、橋本駅周辺の状況が波及しており、地価の上昇がみられる。

橋本駅から東に1㌔、東橋本バス停から南に100㍍程度の「東橋本2丁目10―14」は4・6%(同2・6%)となり、上昇率で前回15位から4位まで順位を大きく上げてランクイン。県立橋本高校南側に隣接する「橋本8丁目15―15」も4・3%(同3・1%)も順位を7位から5位に上げた。

橋本駅から約1・1㌔と徒歩圏内の「東橋本3丁目14―8」は4・0%(同2・9%)で前年と同じく9位。過去に上位3位以内に入った「橋本1丁目15―15」は4・0%(同3・0%)で10位(同8位)と順位をわずかに下げた。一方で、JR相模湖駅から約4㌔離れた「千木良字柳馬場431番1」は、マイナス4・6%(同マイナス4・4%)で、下落順位がワースト9位(前回34位)になった。

商業地では相模原市の平均変動率が0・9%(同マイナス0・6%)と下落に転じた。上昇率を区ごとに見ると、緑区は2%の上昇、中央区と南区は1%未満の下落となった。個別の地点では、橋本駅南口から西へ300㍍の「橋本2丁目―10―24」が5・8%(同3・6%)に伸ばし、上昇率を県内1位(同6位)に上り詰めた。

このほか、前年15位だった「橋本3丁目30―1」(現ナカジマサイクル)は4・0%(同3・1%)に上昇し、7位まで順位を上げた。一方で、国道20号相模湖駅前交差点から藤野寄りに約50㍍の「与瀬本町8番1」は、マイナス2・0%(同マイナス3・0%)と下落率を縮めたものの、県内ワースト6位となった。

橋本駅周辺地区は、リニア中央新幹線の事業進捗による駅周辺の整備発展や商業集積の充実に対する期待もさることながら、上層階を共同住宅として使用することが可能な商業地域では、将来のマンション利用を見据えた需要が地価を牽引していると見られる。相模大野駅前にある市内の最高価格地点では、百貨店の撤退後、客足の流れに変化が生じて前年から下落となっているが、下落幅は縮小した。一方で、旧津久井郡は地理的に商業需要が弱く、地価の下落が継続している。

県央地域では、厚木市の商業地(中町2丁目)が5・0%(同2・0%)で、前年32位から橋本2丁目に次ぐ2位に急上昇。小田急本厚木駅北口(同)の約4500平方㍍で再開発が検討されており、駅前広場や商業ビル建設などへの期待感が高い。同市内の工業地でも飯山が6・1%で3位、緑ケ丘5丁目が5・9%で5位となり、ともに初めて上位に浮上した。

相模原市の工業地では南区が5・0%、緑区が4・7%、中央区2・4%の上昇となり、全体で3・6%(同2・6%)の進展が見られた。ネット通販関連の貨物業者等の需要が旺盛なため、物流適地や倉庫適地への需要増加が続いている。一方、コロナ禍の影響により、工場、機械設備等への投資の減退、個人消費の落ち込みも見られることから、製造業系工業地では下落地点はないものの横ばいで推移している地点も見られる。

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