相模原市緑区の商業施設を中心にキッチンカー(移動販売車)でジェラートを専門に販売している「メグジェラート」が6月から、2カ月ぶりに営業を再開した。相模湖地域出身の塩田恵美さんが1人で切り盛りし、「豊かな自然の中で楽しむことができ、子供から高齢者までが安心して食べられるジェラートを提供したい」と生まれ育った旧津久井郡の魅力づくりに奔走している。【2020年7月10日号掲載】
同店のジェラートは「香料や着色料などの添加物を使わないこと」「旬の新鮮な食材を使うこと」がこだわり。「農家が大事に育てたものを使わせてもらっている」との考えから、生産者と直に会って顔を向き合わせて仕入れている。ブルーベリーやイチジクは摘み取りから手伝うことで、作業しながら生産者のみぞ知る加工方法を教えてもらうこともある。
レギュラーの「ミルク」のほか、果物はもちろん、野菜や穀物まで多彩な食材を使った約20種類の日替わりフレーバーがある。津久井在来大豆のきなこや津久井白いちじく、佐野川産のお茶、相模原産の鶏卵、本沢梅園のウメなど多種多様だ。
塩田さんは飲食店や生花店などに務めていたが、出産を機に離職。復職も認められていたが、兼ねてから「自然が豊かで景観が良いのに、食事や休憩ができる場所が少ない。地域の特徴を生かしたかった」という思いがあり起業した。「幅広い世代が好きで、食べて幸せになるようなもの」として、アイス(ジェラート)を商材に選んだ。
ジェラート専門店という業態を選んだことについて「楽しい」と言い切る。果物や野菜からお茶まで、さまざまな素材を合わせることができ、開発しがいがある」と笑顔で答える。
2019年3月から20年2月まで、八王子市堀之内のジェラート店「ダ・ルチアーノ」で修行。コロナ禍が広まりつつあったものの、3月から営業の開始に踏み切った。緊急事態宣言を受けて4月6日から5月末まで営業の自粛を余儀なくされたが、年度切り替えや母の日・父の日と重なったこともあり、贈答品需要でオンラインショップが好調だった。
また、キッチンカーも自粛期間を乗り切る〝箱舟〟となった。中古で購入した軽ワゴン車をベースに、自動車いじりが趣味という塩田さんの父らが3カ月かけて改造したもの。最大で約400食分のジェラートを積める冷凍庫のほか、水道やシンクを備えている。
開業前に相談した不動産会社の社長から「この辺りで店舗を持つのは厳しい」と親身にアドバイスをくれた。キッチンカーでの販売を選んだ塩田さんは「人件費や家賃がかからないので、(新型コロナウイルスの感染拡大などを踏まえて)結果的に良かった」と話す。
3歳の愛娘を育てながら、自らの意思で荒立つ海原に漕ぎ出た塩田さん。将来的の目標は「街道から離れた場所に、ジェラートやコーヒーで寛げる地元メインの憩いの場を作りたい」だそうだ。
価格は「シングル」380円、「ダブル」450円のほか、小学生以下限定で「キッズ」(シングルの3分の2)200円。コピオ相模原インター店(隔週日曜日)、オギノパン本社工場(毎週水曜日)などに移動して販売している。