相模原市の本村賢太郎市長は5日、市民会館(同市中央区中央3)で市政報告会を開いた。2023年4月の市長選を控えており、1期目の約3年間を振り返った。市民などから寄せられる「大規模事業がストップしている」との指摘について「時代に合った必要なことをやっていく」と理解を求めた。【2022年6月10日号】
報告会には後援会員や来賓ら約600人が参加した。本村市長はこの報告会で「議論」「対話」「話し合い」といった言葉を連呼した。約50分のスピーチで数十回。市議選から現在に至るまで「市民との対話」に注力してきた。会の最後にも後援者らの質問や要望を受け付ける時間を設けた。
市政報告の目玉は「行財政改革」。本村市長は選挙戦から「大規模事業は一度立ち止まって計画を見直す」と訴えてきたが、就任後に長期財政収支で約816億円(21~27年度)の歳出超過となることが明らかとなり財政健全化に勤めている。
建設事業費については「70万人規模の政令市では1年間で400億~500億円あるが、相模原は200億円しかない。行財政構造改革を成し遂げて、しっかり財源を蓄えて、必要な施策を実現していく」と意欲的だ。
本村市長によると、60~100社の企業などが相模原市にものづくりの拠点を置きたいという要望があるという。相模原を産業の拠点にという考えだが「しかし、種地(未開発地)がない」と苦言を呈す。麻溝台・新磯野地区(A&A)土地区画整備事業の第1整備地区を着実に行い、南北含めて計148ヘクタールのまちづくりを進める。
A&Aをめぐる不正などについては「職員の非違行為やずさんな計画によって進められたもの。法的手段も含めて関係者への対応を検討している」と報告。「職員が疲弊し、パワハラで自由な発言ができなかった」とも話し、「100条委員会に参考人招致や証人喚問に呼ばれている姿が見るに堪えられない」と胸の内を明かした。
在日米軍との関係については「(相模総合補給廠や相模原住宅地区など)基地の返還を諦めずにやっていく。パートナーシップは築くが、必要なことは遠慮なく言う」との考えを示した。
大都市制度については「横浜市と川崎市では議論が進んでおり、神奈川県からすべてのサービスを独立し、政令市から特別自治市に移行しようとしている」と説明。「国に対して法制度化していこうと活動している。地方分権の議論を進め、開かれた市政をつくっていきたい。相模原市が乗っていくかどうかは法制度化してからの議論になる」と話した。
講演の最後には、総務省の人口移動調査で21年度の転入超過(転入者から転出者を差し引いた数)が3837人となり、全国10位になったことを報告。「少しずつ選ばれる街になっている」と強調した。
本村市長は19年4月の市長選で13万2186票を獲得して初当選を決めた。7月投開票予定の参院選では中立的な立場を取る方針を示した。