▽相模原市、脱炭素踏まえ土地利用検討/機能や交通の計画策定に活用へ


一部返還地 南北道路1 JR相模原駅北口地区の土地利用計画などについて情報や意見を交換する検討会議が5日、市役所で初会合を開き、検討事項、検討の進め方や前提条件などについて確認するとともに、同地区周辺の状況も説明した。【2022年7月11日号】

対象区域は未利用国有地の手続きなどで、財務省が民間事業者などに処分(売却など)をすることになる。同計画は土地処分の具体的な条件付与に活用するとともに、交通などの個別計画や、土地活用者の誘導施策展開のマスタープランとして活用を図る。

委員は土木や工学、環境エネルギーなどの学識経験者をはじめ、小山地区の自治会、不動産、市内企業の関係者など11人。東京大学先端科学技術研究センターの小泉秀樹教授が会長に就任した。

主な整備区域は、在日米陸軍相模総合補給廠の一部返還地(約15㌶)が対象。市街化区域ではあるが用途地域は指定されておらず、駅周辺を中心とした地域発展の要として期待される。隣の橋本駅南口前ではリニア中央新幹線県内駅の建設が進み、想定される土地の高度利用化や大規模開発の活発化を踏まえた検討を行う。

検討すべき事項としては▽まちづくりの個性化、差別化をいかに図るか▽複数主体がかかわる中で地区の一体性をいかに持たせるか▽脆弱な交通基盤の中でどのような都市開発を目指すか▽周辺地域との調和をいかに図るか―の4点を挙げた。

土地利用計画の検討では5月に策定した「土地利用方針」に沿って進める。方針は基本的なコンセプトを「つながり」とし、「ライフ」「イノベーション」「交流・にぎわい」から方向性を導き、それぞれ①居住生活②業務開発共創③商業④交流にぎわい⑤交流ハブの5つの機能を整理したもの。脱炭素を掲げた新しいまちとして低中密度とするなど、街並みそのものにシンボル性を持たせたい考え。

宮下横山台線の南多摩尾根幹線への接続や、南北・東西道路の本整備などが前提となるため、交通インフラについても道路、鉄道による交通処理の限界を想定。グリーンスローモビリティー(時速20㌔未満で走る電動車を活用した小さな移動サービス)など新しい移動手段の組み合わせを検討する。

対象地区周辺には児童数872人(5月現在。特別支援学級含む)の市立向陽小や総合相模更生病院(225床)などが立地するほか、米陸軍との共同使用区域(約10㌶)に運動公園「相模原スポーツ・レクリエーションパーク」の整備が順次進められている。

次回の会合は9月中旬に開き、土地利用、インフラ整備、脱炭素化のそれぞれの方向性について検討する予定。10月をめどに中間報告、1~2カ月の頻度で専門部会を経て23年2月下旬に実現化に向けた方策を加えた「土地利用の方向性」を取りまとめたい考え。

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