相模原市など全国20政令指定都市の首長で構成する指定都市長会(会長=久本喜造神戸市長)は19日、東京都内のホテルで会議を開き、相模原市の本村賢太郎市長らが2つの要請事項を取りまとめた。広域自治体(都道府県)から基礎自治体(市町村)への権限や財源を移譲することで二重行政の解消を目指す特別自治市構想についても、金子恭之総務大臣を迎えて意見交換した。【2022年7月11日号】
同会の「多様な大都市制度実現プロジェクト」では、すでに制度化されている指定都市制度と特別区設置制度(都構想)に加え、3つ目の選択肢として特別自治市(特別市)の法制化について検討を行っている。市を廃止して複数の特別区に分割する「都構想」を検討している大阪市もあり、「20政令市が必ずしも特別市に移行するわけではない」と説明する。
10月から3月までを重点期間と位置づけ、イベントやウェブページを通した情報発信、などに取り組む。プロジェクトメンバーの市長から「経済界の理解が進んでいない」との指摘もあり、相模原市では商工会議所などへの講師派遣やまちかど講座(出前講座)などで周知・啓発する方針を固めた。
同会は金子大臣に対し「基礎自治体としての現場力や総合力を備える大都市にふさわしい権限・財源が必要」「活力維持のため、大都市制度改革はまったなし」などと、制度化の必要性を強調。2021年11月にまとめた最終報告を踏まえ、地方制度調査会などで特別自治市の法制化に向けた議論を加速するよう求めた。
金子大臣は「周辺自治体などへの影響の課題もあることから、都道府県から税財源や事務権限の移譲を進めるなど、政令市を実質的に特別市に近づける取り組みを進めてきた」と説明。「これまでの検討経緯や制度の活用状況を踏まえながら、慎重に検討していく必要がある」と回答した。
国会調整担当の本村賢太郎相模原市長は「指定都市を応援する国会議員の会」の会員220人のうち150人に面会・訪問したことを報告。同会の逢沢一郎代表=自民・岡山1区=から「特別市の勉強会を行いたい」と申し入れもあったとし、「議連(議員連盟)の創設が必要」と提案した。
会議の前にはプロジェクトメンバーである12政令市の市長らが出席した会合も開かれた。大森雅夫岡山市長は「政令市は財源面で裕福と見られている」と首を傾げ、「市民1人当たりの基金残高は一般市より少なく、起債残高は多く、行政需要の割に財源が伴っていない」と訴えた。