成城石井、大和市に開発製造機能集約/地域雇用300人で製造能力2倍へ


成城石井 スーパーマーケット運営、食品の輸入・製造などを手掛ける成城石井(本社事務所=横浜市西区北幸)は、4月に完成した新設備「大和第3セントラルキッチン(CK)」(大和市下鶴間)を今月から本格稼働する。複数のセントラルキッチンの開発製造機能を集約し、新機軸の自家製商品の開発を強化する。地域住民の雇用促進を目的として、操業開始時に大和市エリアから約300人の採用を想定している。投資額は66億円。「成城石井の強みを集約した、 今後の成長を担う重要拠点」と位置付けている。【2022年8月1日号】

同社は創業95年、CKを操業して四半世紀となる。「自宅で手軽に楽しめるおいしいものを届けたい」という思いから、家庭の味を大切にしながらプロがつくる惣菜、パン・デザートや、個人宅では再現ができないような本格的なエスニック惣菜を開発してきた。

素材や製法にこだわり、食材本来の味を最大限引き出すために、あえて手作業による工程を維持し、品質にこだわった自家製商品を生み出し続けることで、現在では成城石井全体の売り上げのうち約2割を占める。

7月、複数のCKに分散していた開発製造機能を集約し、新たな統合型CKを大和市の国道246号沿いに設置。規模は従来の1・8倍程度(4階建て、延床約1万平方㍍)となり、新機軸の自家製商品の開発を強化するほか、自社製造比率もこの先3年間で約1割に向上をする見込み。新たなコストの削減や、試作から販売までのスピード化が実現するほか、製造能力も現在の200店舗から約400店舗分へと2倍程度に向上するという。

新設を機に自家製商品の包材を刷新。環境配慮型包材の積極的に導入することで、CO2の削減に取り組むなど、環境配慮に対する取り組みも進める。

1996年10月には、それまで店内で手掛けていた惣菜や食肉加工品を自社製造できる拠点として、パン・デザートを製造する町田第1CK、2004年2月には和食・洋食・中華の惣菜や食肉加工品などの製造拠点となる町田第2CKを創業。「成長エンジンともいえる存在」と例え、店舗数の拡大に貢献している。全体の売上の約2割を自家製商品が占めている。

「コロナ禍以降、ライフスタイルの変化とともに定着した」という中食の影響で、自家製惣菜やデザートは21年、過去最高の売上を記録。一方で、急速な成長に伴い、現在の製造ラインの容量が限界を迎えつつあり、持続的・安定的な商品の供給を行っていくことが難しくなるという課題が生じた。

既存のセントラルキッチンも「新たな取り組みを加速するため」に刷新。「世界各国から輸入している食材を掛け合わせた新商品の開発を検討し、 食卓に新しい提案をしていく一拠点」として年内に生まれ変わる予定。同社は「製造能力の拡大による経済的なメリットだけではなく、環境的な側面、社会的な側面においても、持続的な企業価値の向上を目指していく」としている。

第1、第2CKがある町田市ではこれまで、地域の子供らを招いた「まちだこどもふれあい祭り」で、農業体験などの食育活動に取り組んできた。 引き続き、大和第3CKが立地する大和市でも、地域住民とのふれあいを通し、 食育や健康増進活動など、 食を通した豊かな社会を築く活動を実施したい考え。

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