県内の観光入込、21年は前年より微増に/相模原でも回復傾向


2021年に神奈川県を訪れた観光客(入込観光客)は1億1725万人となり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で前年の半数近くまで落ち込んだ20年(1億849万人)に比べ877万人とわずかに増加した。相模原市や大和市などを含む「相模湖・相模川流域」も増加したが、県内では増加数、増加率ともに最小となった。地域内でも新たな観光施策や新施設の整備などで増加傾向に転じた自治体、イベントの中止や来訪者の減少が響いた自治体に分かれるなど、以前として厳しい状況が続いている。【2022年8月10日号掲載】

県観光企画課によると、観光客の延人数は20年に比べて8・1%(877万人)増の1億849万人となった。日帰り観光客の推計延人数は同8・9%(874万人)減の1億668万人で、延観光客数の91・0%を占めた。宿泊客数は同0・2%(2万人)増の1057万人となった。

県内でもっとも増加率が低かった相模湖・相模川流域(相模原、大和、海老名、座間、綾瀬)では、前年比1・3%(7万人)増の557万人。相模原市の「相模原麻溝公園」(80万5千人)や「県立相模原公園」(75万8千人)への来訪者の増加などで、同1・0%(5万人)増加した。

また、大和市では、新型コロナウイルスの影響で一部休業していた「自然観察センター・しらかしのいえ」(12万5千人)の施設が通年で開所したことによる来訪者の増加などが影響し、地域内でもっとも増加率が大きく同22・8%(4万人)増加となった。一方、海老名市では、「ふれあい農業まつり」などのイベントの中止により、同56・0%(2万人)と大きく減少した。

相模原麻溝公園=相模原観光協会サイトから

相模原麻溝公園=相模原観光協会サイトから



相模原市内の観光地点・施設・行事では、相模原麻溝公園ともっとも多く、次いで県立相模原公園となった。「津久井湖観光センター」(19万8千人)、「相模原ギオンスタジアム・相模原ギオンフィールド」(17万2千人)、「総合体育館」(16万7千人)の順が多く、やや近い観光客数となった。

さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト(緑区若柳)やアリオ橋本(同区大山町)など集客力がある民間施設の数字は示されていないほか、例年は年間150万人以上が訪れるとされる「宮ケ瀬」(県推計240万3千人)は、清川村(丹沢・大山地域)の観光地点として計上されている。

相模原市の観光消費額は通年で約28億9420万円。夏休み期間の7~8月や11・12月の消費が大きかった。宿泊費約25億593万円、飲食費約2億8778万は他市の傾向と比較して、観光における飲食にかける費用が少ないことが分かった。

「横浜・川崎」「三浦半島」「湘南」「箱根・湯河原」「丹沢・大山」「相模湖・相模川流域」の地域でもっとも観光客数が多かったのは横浜・川崎地域(177万人、5・3%増)の3543万人だが、増加率が高かったのは箱根・湯河原地域の13・0%(281万人)増の2434だった。

延観光客数は、01年以降増加を続け、19年には開港博Y150に伴う集客効果などで過去最高の1億8357万人を記録したものの、11年は東日本大震災の影響を受けて1億5197万人まで減少した。

12年以降は増加傾向にあり、17年に初めて2億人を突破。18年は2億26万人、令和元年は過去最高記録となる2億467万人と、3年連続で2億人を突破した。

しかし、20年は新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により前年の半減に近い1億849万人に激減。21年も感染拡大防止のため施設の休館やイベントの中止など厳しい状況が続いたが、結果としては前年からわずかに増加となった。

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